三重県の一般社団法人「伊勢麻振興会」という団体が国内の大麻農家が減少し、神事などに使う大麻製品が不足してしまっていることから、大麻栽培の許可を申請しましたが県側はこれを却下してしまいました。
一体日本と大麻にはどのような関わりがあったのでしょうか?何故大麻栽培が却下されたのか、わかりやすく解説していきましょう。

大麻はもちろんあの大麻です。
日本で大麻を使用、輸入、所持した場合、もちろん大麻取締法にによって警察に捕まってしまいます。
ですが、世界では大麻の使用が少量であれば合法であるところ(例えばオーストラリアやウルグアイなんかがそうです)もありますし、鎮痛薬などので医療用大麻として使用が認められている国もあります。
日本でも大麻の歴史は古く、昔から大麻は使用されておりました。
なんと縄文時代からです。
土器の文様では大麻の縄で付けられた形跡があったり、大麻の種が出土されたりしています。
そして今でこそ大麻は悪いイメージになっていますが、実は大麻は「神の象徴」として崇められる存在でした。
これには諸説ありますが、大麻は「罪穢れ(つみけがれ)をはらう」という存在で、邪悪なもの、悪いものをお祓いしてくれると言うことからでした。
その証拠に、現在でも神社にある「しめ縄」や神殿に吊るしてある鈴の縄も大麻で作られています。
(お相撲さんの横綱が付けている神聖な化粧綱も大麻で作られています。)
世界でも大麻は多くの儀式や神事に使用されていますね。
さて、個人が勝手に大麻を栽培するのは禁止なのですが、日本でも大麻が栽培されていることはご存知でしょうか?
日本では「産業用大麻特区」という所を設けて産業用の大麻であれば栽培しても良いことになっています。
どういうことかといいますと、実は大麻と言う言葉といいますのは正確には「麻」という植物名が正しいのです。
麻にはTHC(テトラヒドロカンナビノ-ル)という成分が含まれており、これが体に入ると俗に言う「ラリる」ようになるんですね。
しかし麻には種類があり、種類によってこのTHCの含有量が変わってきます。
嗜好品として使う麻には、このTHCという成分が5~20%ほど入っていますが、産業用の麻には0.3%未満しか含まれていません。
嗜好品で使うものと産業用の大麻の種類は全然違うんですね。
日本の大麻取締法にはこんな事が書かれています。
「大麻草の成熟した茎およびその製品、大麻草の種子およびその製品は合法である。」と言う部分です。
この産業用の麻ですが、成熟しますと葉っぱの表面の繊維、種子にはTHCは含まれていません。
(ただ麻には雄株、雌株があり、雌株の花の所にTHCの含有量があります。)
ですから、しめ縄と言ったものに使われても捕まったりすることはないですし、麻の服を安心して着られ、産業用の大麻を栽培できるというわけなんですね。
ちなみに「七味にも大麻が使われている」と聞いた事があるかもしれませんが、確かに大麻は使われているのですが全くTHCは含まれていません。
この産業用大麻ですが都道府県の許可がないともちろん栽培することができません。
やはり、勝手に進入されて大麻が採られてしまったり、個人が勝手に栽培をする事件があったりするので慎重にならざるをえません。
現在では北海道の北見市といったごくわずかな地域でしか産業用の大麻は栽培されていません。
1950年頃は大麻の農業がかなりたくさんあり、作付け面積が4049.2ha(ヘクタール)、農業者も25000人ほどいました。
しかし、今では農業者も100人もおらず、作付け面積も10haほどです。(1ヘクタールは100m×100m=1000㎡)
ですから日本の大麻農家というのはかなり絶滅の危機にあるんですね。
そんな折に三重県の一般社団法人「伊勢麻振興会」は神事などに使う麻製品が不足してしまっていることから、大麻栽培の許可を申請しました。
しかし、これが却下されてしまいました。
現在では化学製品の代替品もありますし、外国産の大麻繊維もあるので、三重県でわざわざ作る必要性はないという判断からでした。
協会側は再度申請内容を修正して、今年4月から栽培をしたいと考えています。
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2017/01/09(月) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)