ベネズエラがインフレ対策として、過去最大級のデノミネーションを1月16日に発表しました。
今回は何故インフレになっているのかその原因と、デノミネーションの意味と理由を詳しく解説していきます。

ベネズエラは南アメリカの上にある国で、正しくはベネズエラ・ボリバル共和国と言います。
公用語はスペイン語で、首都はカラカスですね。
人口は約3600万人ほどの国で、通貨の単位は「ボリバル」です。
ベネズエラでは現在深刻な経済危機に直面しています。
ベネズエラで経済を支えている一番のものは何かと申しますと、「石油」です。
輸出収入はなんと96%。
昔はカカオやコーヒー豆を輸出していたのですが、石油が発見されてからはそのような農業は現在では廃れてしまいました。
ベネズエラの石油埋蔵量はなんと世界一です。
しかし、資源のある国って、裕福な国であるはずなのに何故深刻な経済危機になってしまっているのでしょうか?
20世紀はじめ、石油はアメリカでしか産出されていませんでした。
ですので非常に貴重な資源となっていたのです。
しかし、その後サウジアラビアやイラクといったように様々な国で石油が採れるようになりました。
たくさん石油(石油だけでなくあらゆるモノも同じです。)があると必然的にこのような事が起こってしまいます。
「石油の値段の下落。」です。
当初は輸出をしてとてもたくさんの利益を生んでくれた石油でしたが、石油の値段が下落したことで掘って輸出しても大赤字となってしまったのです。
石油といいますのは、油のもと、つまり原油を精製したものをいいます。
原油には地域によって、ドロドロだったりサラサラだったり、地下水をたくさん含んでいたり、不純物がたくさん混じっていたりと、いろいろと性質が異なっています。
ですからそれらを精製して初めて灯油や軽油、ガソリン、ナフサ(プラスチックの原料として使うものです。)といった石油製品となるのです。
ベネズエラの石油の性質はとてもドロドロとしています。
ドロドロとしているタイプの石油というのはとても精製に費用がかかってしまうのです。
おまけに最近は原油の価格がまた上がってきたとは言え、まだまだ原油安です。
その為、ベネズエラでは自国に世界第一位の原油埋蔵量があるのにもかかわらず、北米産の原油を輸入して精製して輸出するという何とも奇妙な国になっているのです。
資源があっても単純にうまくはいかないんですね。
ですから、世界のGDP(国内総生産)ランキングではベネズエラは43位とけっこう低い位置にあるのです。
さて、このベネズエラの経済危機ですがどんな経済危機かといいますと、それはインフレーションという経済危機です。
ベネズエラののインフレ率は720%という驚異的な数値をたたき出している国です。
インフレ率とは去年に比べてどれくらいインフレーションになったか示すものです。
インフレーションといいますのは、モノの価値がお金の価値より高くなる、つまり物価が高騰しているというものです。
日本では-0.16%(つまりデフレーションです(モノの価値がお金の価値より安い))ですから、日本から見ますとありえなさ過ぎる状況です。
ですから、モノを買うときに大量の札束を必要とします。
リンゴ一個買うのにも大量の札束を何枚も取り出して買うことになります。(と、いいますかモノがなくて売っていない)
インフレーションがあまりにも酷い状況のことをハイパーインフレと呼んでいますがまさにこの状況がベネズエラなんですね。
そこで、ベネズエラは新貨幣を流通させることにしました。
以前は100ボリバル札というのが最高額紙幣でした。(日本で言えば一万円札ですね。)
しかし、100ボリバル札では何を買うにしても大量の札束を持っていかなければなりません。
そこで政府は500ボリバル札、5000ボリバル札、20000ボリバル札という札を発行しました。
このようにあまりにもインフレが加速してしまい、通貨の単位を変更することをデノミネーションと言うのです。
しかし貨幣はまだ流通したばかりでATMも対応できないですし、普及がぜんぜんしておりません。
ですから、何かを買おうとしてお客さんが5000ボリバルの紙幣を出してもお店側がお釣りを持っていないのでモノを売ることさえできない光景があるのです。
ベネズエラのインフレ率は今後1660%にまで達することが予測されています。
(IMF(国際通貨基金)調べ)
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2017/01/18(水) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(2)