南スーダンPKOに派遣されている自衛隊が今年(2017年5月)に撤収することになりました。
今回はこのニュースを詳しく解説していきたいと思います。

南スーダンは↑の位置のように、東アフリカのスーダンとエチオピアに隣接する国ですね。
南スーダンは「南」という字が付いています。
この国はもともとスーダンという国があり、そこからアメリカのサポートを受けて2011年7月に独立して南スーダンと言う国が出来ました。
独立した結局の理由は宗教ですね。
スーダンではアラブ系イスラム教徒という方達とアフリカ系キリスト教徒という方達がいました。
しかし、アラブ系イスラム教徒がアフリカ系キリスト教徒を支配するような構図となっており、長い間内戦が続いていたのですが、何とか住民投票をして世界でもっとも若い独立国として果たすことが出来たのです。
そんな独立国にPKO(国連平和維持活動)という活動部隊が参加いたしました。
PKOと言いますのは、紛争の後に再び紛争が起こらないように監視するのが目的です。
活動自体はいろいろとありますが、選挙に不正が無いか監視したり、難民や復興のお手伝いをしたりします。
PKOには多くの国が参加しています。南アジア、フランス、中国、アメリカ・・・そして日本ももちろん1992年のPKO協力法という成立をもとにPKOに参加しています。
PKO部隊に派遣されるのは自衛隊です。
やはり独立して間もない所は非常に治安が悪かったり、内戦がくすぶっていたりと危険な所がたくさんあるからです。
南スーダンには2012年1月に自衛隊が復興支援を目的として派遣されました。
それから自衛隊が南スーダンで復興支援を行いました。が、一方、日本ではこんな話し合いが行われておりました。
『安全保障関連法案』、通称「安保法案」です。
日本を取り巻く環境といいますのは時代の流れで完全に変わりました。
殺される様な状況にあってめた武器も簡単に使うこともできない自衛隊の存在。領土問題といった事で中国の脅威、戦争が起きても自衛隊を出さず介入しない日本に、アメリカをはじめ世界から圧力がかかる環境。
そこで自衛隊について、どんな時だったら自衛隊の派遣が許されるのか?武力を使って行動する条件はどうしたらよいのか話し合いをしたのです。
結果としまして、まだモヤモヤと曖昧な部分は残りましたが、同盟国が脅かされ、日本の存在が脅かされた場合は武力を使っても良いという、「集団的自衛権」の確立などが盛り込んだ2016年3月に安保法案が可決されました。
このような可決がされていた一方、独立を果たしたはずの南スーダンの首都ジュバでは激しい戦闘が起こっていました。
南スーダンの大統領と副大統領が仲違いし、民族紛争が起こったのです。
各国から来たPKO部隊でさえ危険すぎて、収拾がつきません。
派遣された自衛隊も、安保法案によってある程度は行動の自由が緩くなりましたが、武器の使用も簡単にできないので結局は従来と同じような行動しかできません。
そこでPKO協力法を安倍さんが改正しました。
自衛隊や国連職員が危険にさらされた時は武器の使用ができるように認めた、『駆けつけ警護』や、自衛隊や他の国の宿営地が襲われた時は、他の国と連携して武器を使って守る事が認められた『宿営地の共同防護』というか活動が出来るようにしたのです。
こうして5年が経った現在、日本のPKOの撤退が決まりました。
実は日本にはPKOを撤退する時の条件があったんです。
それは、停戦が守られていること。そして、その停戦が破られた場合は撤退できる、というものです。(PKO5原則という中に盛り込まれています。)
国会で「南スーダンは停戦してます」と言ってるのに対し、「いや、内戦状態だ」とよくわからない争いをしている場面を見た人がいるかもしれません。
おいおい、内戦かどうかも判断つかないのかよ・・と思うかもしれませんが、これは違います。
日本だけPKOを撤退してしまうと、他の国から日本はなんて国だ!と冷たい目で見られてしまいます。
ですから、なんとかPKOを現地に留めるため、内戦は起きていないと称して自衛隊を置く法的な理由を置いて主張している政治家と、紛争状態でPKO5原則にあてはまらないから撤退させろと主張している政治家が争っているんですね。
今回の撤退する理由ははっきり言ってうやむやです。が、政府側はこの様に言っています。
「総合的に勘案するもので、治安悪化による撤退ではない」
つまり、内戦が理由じゃないよ。
とにかくいろいろ考えた結果、撤退するんだよ。
と、濁してPKOの撤退をすると決めたのです。
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自己紹介
ブログ管理人:大佐

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2017/03/12(日) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)