トランプ大統領がアメリカの合衆国裁判所の次の判事としてニール・ゴーサッチさんを指名することで大きくもめていますね。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきたいと思います。

アメリカには「アメリカ合衆国最高裁判所」という所があります。
日本にも同じように「最高裁判所」というものがありますね。
裁判所には家庭裁判所や簡易裁判所といった裁判所があるのですが、こういった裁判所は「下級裁判所」と言われています。
こういった下級裁判所で何かの判決が下された時に不服に思った人が異議申し立てをした際に行き着く先が最高裁判所です。
最高裁判所は最終的な決定を下す権限があり、一番トップの裁判所です。
そんな最高裁判所には判事という判決を言い渡す人達が働いています。
(ちなみに裁判官とは違います。裁判官は判事や書記官といった人達のことを総称して裁判官といいます。)
アメリカの最高裁判所では「主席判事(最高裁長官なんて言い方もします)」というリーダーと8人の「陪席判事(ばいせきはんじ)」がいます。
主席判事さんと陪席判事さんはいずれも死去するか自分から退任するまでずっとこの地位につけます。
終身雇用制って事ですね。
この陪席判事さんの中の一人、アントニン・スカリアさんという判事さんが実は急死してしまったのです。
そこで、新しくトランプ大統領がニール・ゴーサッチさんという方を新しく判事に任命しようということになったわけです。
大統領は大統領の権限として、判事を任命する権利があるのです。
しかしながら、ここが難しいところです。
よくトランプ大統領が大統領令を発令していますが、いくら大統領令を発令したからと言いましても全部が通るわけではありません。
大統領令というのは、法律に違反することは通らないようになっているのです。
ここで判断しているのが最高裁判所です。最高裁判所が却下すれば大統領令は却下されてしまうと言うわけですね。
では、トランプ大統領の大統領令が通りやすくするにはどうすればよいのでしょうか?
はい、それはトランプ大統領と同じような考えを持っている人を判事の中に入れればいいわけです。
つまり、自分に有利な判事さんを入れることが重要なことなわけです。
さて、アメリカは共和党と民主党の2院政です。トランプ大統領は「共和党」ですね。
共和党は白人寄りで富裕層にやさしいと言った党でして、民主党は低所得層に優しく黒人やヒスパニック系といった人種に人気があります。
亡くなったアントニン・スカリアさんも共和党に近い考えを持った人でした。
アントニン・スカリアさんが亡くなり、最高裁判所の判事さんの数は主席判事、陪席判事合わせて全部で8人となりました。
この判事さんですが、現在のところ共和党よりの考えを持った判事が4人、民主党よりの考えを持った判事が4人となってしまっているのです。
ここで大統領が任命した人物がニール・ゴーサッチさんです。
彼はかなり強い共和党寄りの考えを持っています。
トランプ大統領にとっては任命してしまえば共和党判事が5人、民主党判事が4人で大統領令も通りやすくなりますので共和党は大賛成。
しかし民主党にとっては非常に不満です。
ここで、民主党はこのニール・ゴーサッチさんの任命を阻止するべく立ち上がったわけです。
民主党が立ち上がったところで阻止ができるの?
と思うかもしれませんが、大統領の判事任命には上院議員の「助言と同意」というものも同時に必要になっているからです。
アメリカでは先程も申しましたとおり2院政です。
現在この国会内には、民主党の議席が46議席、共和党が52議席、無所属が2議席の計100議席あります。
ニール・ゴーサッチさんを判事にするには上院議員の半分が賛成すれば、はれて判事にすることができます。
現在、共和党が52議席あり共和党の方達は賛成しているので達成はしています。
が・・・この上院議員の「助言と同意」というものには期限がありません。
そこで民主党側はこんな作戦を考えました。
「フィリバスター(ひき延ばし作戦。)」です。
よく、日本の国会で牛歩という、ゆっくりと歩いて法律が通らないように時間稼ぎしてる議員を見たことがあると思います。
あれと似たようなもので、とにかくニール・ゴーサッチさんの判事の任命に関する話が出たら、民主党の誰かが話しまくって、永遠と判事の任命を延期させるという作戦です。
こういった方法を議事妨害というのですが、過去に民主党はこの方法で採決を拒否した経歴があります。
フィリバスターを打ち破るには原則として今度は60の議席が必要になるからです。
そこでトランプ大統領も作戦を考えました。
「核オプション」という作戦です。
これは核兵器を打つわけではなく、60の議席を無くして上院議員の過半数51議席の賛成を得られれば採決されることにしてやる!と法律を変えてしまう作戦です。
つまり規則自体を変えてしまうということですね。
このような感じに現在アメリカの判事についてもめているというわけです。
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ブログ管理人:大佐

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2017/04/05(水) | 政治のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)