名古屋大学でカーボンナノベルトの作成に成功したというニュースがありますね。
今回はこのニュースについてわかりやすく解説していきましょう。

「カーボン」とは炭素のことですね。
元素記号を昔習ったかと思いますが、元素番号が6で「C」と書きます。
炭素はあらゆる有機物に含まれています。
私たちの体も炭素が含まれていますし、石油や植物にだって含まれています。
逆に言えば炭素が含んでいるものを有機物と言っていいです。(ただし二酸化炭素や一酸化炭素は無機物と扱われています。)
みなさんも知っているダイヤモンドも炭素ですね。
ダイヤモンドは炭素原子の集まった岩石が適度な高温高圧で押さえつけられることによって、炭素のつぶが強く結び付けられて出来上がります。
しかし一歩間違ってしまうとグラファイト(黒鉛)という真っ黒な物質になってしまいます。(鉛筆の芯などに使われています)
この2つの違いは炭素原子の並び方や結びつきに違いがあります。
ダイヤモンドは炭素原子に4つの手が生えています。
この4つの手がすべて他の炭素原子とがっちりつながって3次元構造になって結晶化していますので(共有結合といいます)とても硬いのです。
しかし、グラファイトという物質は2次元構造で炭素原子が3つの手だけでつながっており、1つだけ手が余っている状態です。
例えますと、ミルフィーユみたいな感じですからパリパリと剥がすことができるので硬くないのです。

何を言いたいのかといいますと、同じ炭素なのに炭素の並び方や結びつき方によって全く別の性質を持つのが炭素なんです。
ダイヤのように硬くもなりますし、鉛筆の芯のようにパリッと柔らかくなったりするのが主な特徴ですね。
ということは、この炭素原子の構造が変わればいろいろな素材に変化しそうですよね?
炭素繊維なんて素材があります。
炭素繊維はポリアクリロニトル繊維というものを高温で焼いて炭素以外の元素を脱離させて作ります。
この炭素繊維をプラスチックの中にいれますと「炭素繊維強化プラスチック」なんてものが出来上がります。
これを使って航空機の材料やゴルフクラブのシャフト、釣竿なんかにも使われています。
軽いのに強いという特性を生かしてこのような部品に使われているのです。
さて、今回名古屋大学で作成に成功したカーボンナノベルトというのはどんな素材なんでしょうか。
カーボンは先程ありましたように炭素、ナノはナノメートルという大きさを表しています。(「nm」と書きます。髪の毛の5万分の1の大きさです)
ベルトは帯状という意味です。
カーボンナノベルトは炭素原子から6つの手が伸びていて互いにがっちりとつかんでいます。
それが12個つながっていてチューブ状になっています。
特性としては軽く非常に強い剛性があり、電気や熱も通りやすいといった特性があります。
剛性といいますのは例えて言うのでしたら竹のようなイメージじですね。
曲げてみますとある限界点まではベキッと折れることはありません。あの強さを「剛性」と言います。
いくら曲げてもベキッといくことがないのです。その強さは鋼鉄の数十倍あります。
カーボンナノベルトは60年ほど前に理論的にはできるだろうと予測していました。
しかし、なかなかこの素材を作ることが出来なかったのです。
何故なら炭素分子に歪みが出てしまって不安定だったからです。
しかし、今回パラキシレンという炭素原料を使って筒状の構造に変換する手法を思いつき、これが成功したわけです。
これによって様々な製品に応用ができるのはいうまでもありませんね。
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ブログ管理人:大佐

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2017/04/14(金) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)