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日本郵政株式会社がのれん代を下回る減損処理で巨額の損失を出すというニュースをわかりやすく教えてください。


日本郵政がのれん代によって巨額の減損処理を出してしまうニュースがありますね。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。



日本郵政公社はもともと国営の企業でしたよね。
それが2007年の郵政民営化によって、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日本郵便という民間会社になりました。

あれ?
それぞれ民間の3つの会社になったんじゃないの?
日本郵政株式会社って何だ?と思った方もいるかもしれません。

はい、これはですね本当は4つの会社になったんですね。
(日本郵便は2012年に郵便局株式会社と郵便事業株式会社がくっついて出来上がりました。)

じゃあ日本郵政株式会社って一体何をしている会社なんだ?と思うでしょう。
実は日本郵政株式会社とは郵政民営化に伴って、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日本郵便の「持ち株会社」となっているのです。

持ち株会社とは基本的に具体的な事業はしません。(具体的な事業をする所もありますが。)
その代わりにその他の会社(ここで言えば、「かんぽ生命」「ゆうちょ銀行」「日本郵便」)の会社の株式を保有してそれらの会社を管理したり実質的に支配をしています。

簡単に言いますと、親会社が日本郵政株式会社で子会社がかんぽ生命などに当たります。
基本的に子会社は親会社の指示の基でそれぞれの事業を行います。

さて、この日本郵政株式会社ですが現在は巨額の減損処理を計上する可能性があると報道されています。
これにはオーストラリアにある物流子会社トール・ホールディングスが関係しています。

トール・ホールディングスは運輸事業を手がけています。
トラックや飛行機で荷物を輸送したりしている国際運送会社ですね。

日本郵政は2015年にこのトール・ホールディングスを6200億円かけて買収をしました。
つまりトール・ホールディングスは日本郵政の子会社となったのです。

買収は利益を生み出す良い会社を買うのが目的です。
しかしながら、せっかく多額の資金をかけて買収したトール・ホールディングスの業績が思わしくありません。

トール・ホールディングスは日本郵政の「のれん代」を下回る営業利益を出してしまったので日本郵政は巨額の「減損処理」を出す可能性が出てきたのです。

難しい言葉がいくつか出てきたので、それを踏まえて詳しく解説していきましょう。

「のれん代」という言葉が出てきましたね。
のれんとはよく居酒屋の入り口にあるあの「のれん(暖簾)」の事ですね。
よく、「店の暖簾に関わる!」と言ったりしますが、のれんっていうのは信用力みたいな意味合いが含まれます。

企業を買収する際、純資産(会社の借金の金額を引いて、残った現金や土地や有価証券とかを合わせた資産)=つまり買収する会社の原価通りに買えることができれば一番良いですよね。

しかし、原価どおりに買うことはできません。

なぜなら多くの企業が手を上げて「この会社を買いたい!」とした場合、オークションのように値段がつり上がってしまうからです。
この原価よりも値段がつりあがった部分を「のれん」といいます。

この「のれん」の部分は純資産と違って目に見えない価値です。
例えば企業のブランド価値だったり、働いているスタッフだったり、会社のノウハウとかですね。
値段がつりあがってしまうのは、買収する企業の見えない価値に評価をしている為に値段がつりあがってしまうのです。



計算式にしますと「買収した金額」-「純資産(企業の原価)」=「のれん代」と言うことになります。

じゃあ、この見えない価値である「のれん代」を「減損処理」したとはどういうことか?ですよね。

減損処理というのは主に固定資産に対してマイナスが生じた時に企業の帳簿に書かなくてはいけないものです。

固定資産というのは土地や建物といった流動性があまりない会社が持っている資産のことを言います。
土地とかってあんまりすぐに値段が変わらないでしょう?
のれん代も目には見えないとはいえ、急にノウハウが落ちたりスタッフが総入れ替えすることも無いから固定資産として計上してるのです。

今回、買収したトール・ホールディングスは業績が悪くなり2016年度の営業利益は177億円しか出ませんでした。
もし業績がよければ日本郵政の固定資産として計上できますが、会社の業績が思わしくない場合は「損失」として計上しなくてはならないのです。

2016年12月時点でのれん代の残りは3860億円。
日本ではのれん代を20年間以内で規則的に償却する仕組みになっており、買収したトール・ホールディングスののれん代は毎年200億円程かかってしまいます。

おまけに残念なことに市場ではトール・ホールディングスの業績がこれから良くなるという見通しを立てている人は少ないです。

業績がこのまま悪ければ、日本郵政の会計帳簿に毎年減損処理として記載し、これを長い目で見ると4千億円程膨らんでしまう可能性があるのです。

買収するというのは本当に利益を生み出す会社を狙って買わなければ痛い目を見ます。
その買収額以下の利益しか生まずに潰れてしまったらもっと大変な事になるわけです。

ちなみに政府は日本郵政の株を3分の1保有しており、いつかそれを売らなくてはいけない決まりになっています。
売ったお金は東日本大震災の復興財源にする予定です。

しかしながら現在日本郵政の株価が下がってしまい、今後さらに下がり続け低迷してしまったら売ることができません。
復興財源に充てられない可能性までも出てきてしまいます。
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大佐
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2017/04/24(月) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)

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