北朝鮮がシアン化ナトリウムの特許申請をしていたことが問題となり、ニュースとなっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
まずはシアン化ナトリウムってどんな薬品なんだろう?ということですが、シアン化ナトリウムは別名で「青酸ナトリウム」なんていいます。
よく青酸カリで自殺なんていいますが、青酸カリはシアン化カリウムという物質でシアン化ナトリウムとよく似た物質です。
化学式で表すと「NaCN」でアーモンドの匂いが少しする薬品(厳密には収穫前の実や花の甘酸っぱい匂い)です。
アーモンドの匂いがするからといってももちろん食べてはいけません。
毒物及び劇物取締法という法律で毒物に指定されていて、200~300mgを食べたら死んでしまいます。
このシアン化ナトリウムの製造方法を北朝鮮の科学者なのか一般人なのかは不明ですが、「シアン化ナトリウムの生産方法」という名前でWIPOという所に特許出願していたというのです。
WIPOというのは「世界知的所有権機関」といいます。
スイスのジュネーブと言う場所にこの本部があります。
何をしているところかと言いますと、世界中の知的財産権に登録した人の管理や運用、保護をしているところですね。
知的財産権というのは、人が考えて作った形の無いものを価値としてみなし、その価値を守るための権利のことを言います。
例えば自分が癌の特効薬の作り方を開発したとしますよね。
しかしその後にあなたと全く同じ方法で癌の特効薬を作り「私が最初に考え付きました」と公の場所で公言した場合、あなたの権利が失われてしまいます。
そうならないために、このような機関に商品の商標名や何らかの製造方法などを登録しておいて守っているのですね。
話は戻りますが、では北朝鮮がWIPOにシアン化ナトリウム製造方法を出願したことで何が問題なのか?ということですね。
これは法的には問題ないです。
ただ、WIPOという機関がまるで北朝鮮を援助しているように見られてしまうという点があります。
WIPOは国際的な機関であり、いろいろな国が北朝鮮に対して制裁をしている中でこのような化学薬品の作り方の特許申請にOKを出してしまうと印象が悪くなってしまいます。
先程申しました通り、シアン化ナトリウムは毒物であります。
例えばこれをミサイルの中に入れて飛ばせば化学兵器にもなります。しかし、工場でメッキなどに使われる物質でもあるので一概に悪い薬品とも言えません。
WIPOに登録されている薬品の中にも食べたりすれば死んでしまうようなたくさんの毒物の製造方法が登録されており、北朝鮮も通常通りの手順で出願していますし、工業目的に使うのか軍事目的に使うかわかりません。
そこに良いか悪いかの判断は関係ありませんよね。
このことに対して問題視した所が「国際連合安全保障理事会」です。
国連安保理なんてよくテレビで言われていますが、いろいろな国が集まって悪いことをしないように国同士で取締りをしている組織です。
国連安保理では北朝鮮に対して弾道ミサイルに関わる全ての活動の停止を求めています。
核兵器はもちろんのことですが、化学兵器を作るための物質やそれを作るための技術なんかも止めるように要求しているのです。
「シアン化ナトリウムも化学兵器を作るための技術ではないか!国連安保理で決めた事に反する!」ということで問題視しているわけですね。
国連安保理ではWIPOに北朝鮮の出願に対して慎重に扱うように要請しました。
これが今回のニュースなんですね。
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2017/05/19(金) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)