NTT(日本電信電話株式会)がトランジスタ内でランダムな方向へ動く電子をよりわけて電流を発生させる実験に成功しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。

NTTはみなさんもご存知ですね。
大手の通信会社です。
この会社で面白い実験が成功しました。「マクスウェルの悪魔」による発電です。
マクスウェルというのは人の名前です。
スコットランドの物理学者でジェームズ・クラーク・マクスウェルという人物です。
この方が「マクスウェルの悪魔」という思考実験を提唱しました。
思考実験というのは、書いたとおり頭の中だけで想像する実験です。
実験器具などはもちろん使いません。
妄想じゃないの?と思うかもしれませんがちょっと違います。しっかりと科学の原理に反しないで頭の中で実験をするのです。
また、その頭の中でおく実験は理想的な環境が前提となっています。
例えばですが、真空の中で何か実験をするとしますが、真空にすることって非常に難しいですよね?
空気の分子が1つでも入っていたら厳密に言ったら真空ではありません。全く何も無い状態を完全真空というのですが、そのような環境を作り上げるのは極めて難しいわけです。
でも、頭の中ならそのような環境を作ることはできますよね?
そのような理想的な環境を頭の中だけで作り出して実験をするのです。
有名なアインシュタインの特殊相対性理論も思考実験の1つです。
ではマクスウェルの悪魔というのはどのような実験でしょうか?
世の中にはこのような法則があります。
「熱力学第二法則」です。
あなたの目の前にある机の上に同じ大きさの鉄球が置いてあったとしましょう。
この鉄球は何もしなければもちろん鉄球も同じ温度です。当たり前ですね。
この鉄球に温度差を作り出すには、片方だけに冷たい風を当てるだとか氷を上に置くだとか、手で暖めるといった何らかのアクションをしなくてはいけません。
つまりこのようなアクションを起こさない限りは温度差は生まれないというのが「熱力学第二法則」なわけです。
では温度が高いか低いとはどういうことかですが、これを構成されている分子で考えてみましょう。
温度が高いというのはエネルギーが高い、つまり分子が激しく動いているから温度が高くなるわけです。
逆に温度が低いと言うのは分子がゆっくりと動いているから温度が低くなるわけですね。
では、ここにお菓子の空き箱があるとします。
そしてこの箱の中央に仕切りを置き、この仕切りに扉をつけます。
で、この中の一方の空間に激しく動いている分子とゆっくり動いている分子を混ぜて入れたとします。(ただこの扉は開けるのにも閉じるのにも何もエネルギーを使用しない扉とします。)
この扉を開けたり閉めたりするのが悪魔です。
悪魔は何をするかといいますと、激しく動いている分子だけがきた時は扉を開けて、ゆっくりと動く分子がきた時は扉を閉めるという行為を行います。
別に悪魔でもなくていいんですが、そんなことができるのは悪魔ぐらいのもんだということで悪魔をその扉に置いているってわけです。

結局これがどうなるかといいますと、激しく動いている分子が片方の空間に集まり、ゆっくり動く分子だけがもう片方の空間に集まるわけです。
つまり何もしなくても片方に熱い空間があり、もう片方の空間に冷たい空間ができてしまう空き箱が出来上がるのですね。
もちろんこれには悪魔が扉を開けるときのエネルギーだって必要になるとかややこしい話が加わってくるんですが、これが「マクスウェルの悪魔」というわけです。
ではNTTの実験に戻りますが、先の話ではお菓子の空き箱を使いましたが、NTTでは入れ物にトランジスタを使用しました。
トランジスタってのは非常に難しい定義なんですけど、ここでは同じようなお菓子の空き箱と考えてください。
トランジスタの中には今度は仕切りが二つあって両方の仕切りには扉がついています。
トランジスタの中にはいろんな方向に飛び回っている電子があるのですが、のトランジスタに電流を流すのです。
そうしますと一方向に流れる電子もありますが自由に飛び回っている電子もこの中に存在しますす。

この自由に動き回っている電子をトランジスタの中から取り出してしまい、一方向に流れる電子だけを残すわけです。
要は自由に飛び回っている電子だけを取り出してしまえば、エネルギーの変換がよくなりますよね?
これがNTTの実験で成功したわけです。
この実験を応用して何ができるかといいますと、消費電力を抑えたりエネルギーの変換効率を抑えた何かができるわけです。
電球に応用すれば、極めて長持ちする電球ができると言ったことですね。
これが今回のニュースというわけです。
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ブログ管理人:大佐

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2017/05/21(日) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)