戦前に日本が統治していた国の運営の為に使われてた特別会計の処理がようやく終わったことがニュースとなっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
1944~1945年の日本はまさに第二次世界大戦の終盤でした。
この戦いで日本が勝つために絶対に必要だったのが石油の確保です。その為に旧日本軍はアジア諸国へ進出をしていました。
そうして台湾といった国や南洋諸島(現在のパラオやマーシャル諸島あたり)を日本の統治下においていました。
もちろん石油確保だけではなくロシアとの戦いに勝利して勝ち取ったり、他国からの植民地から解放したことよって得た南樺太(樺太島の南半分)や満州(現在の中国にある東北部)、香港といった国も日本の統治下においていました。
このように日本が統治していた国ですが、やはりインフラや行政サービスなどといったお金がかかります。
そこで、これらの統治していた国に対しては「特別会計」として国のお金に計上していました。
特別会計というのは一般会計から切り離して「特定の事業を行う際だけに計上するもの」です。
一般会計というのは、「通常の事業で毎年必要になるようなものを計上したもの」です。
一般会計と特別会計を一緒にしてしまうと、計算がややこしくなってしまったり、用途が良くわからなくなってしまうのでこのように分けているのです。
東日本大震災の時にも復興特別会計というものが計上されましたが、まさにイレギュラーな出来事や、特別なことをするときに「特別会計」というお金を計上しているわけです。
さて、この時に日本が統治していた国(朝鮮、台湾、樺太、関東州(現在でいえば中国の大連のあたり)にかかっていたお金ですが、戦後の混乱によって1944~1945年の間の特別会計がいくらだったか戦後70年経ってもわかりませんでした。
そこで今まではこの特別会計は先送りにしていたのですが、政府は「旧外地特別会計」と称して特別会計がいくらかかったのか計算して計上することにしたのです。
今更?と思うかもしれませんが、「昭和19年度と昭和20年度の特別会計をする規定」が2015年10月に施行されまして、これによってしっかりと計上しなくてはいけなくなったんですね。
特別会計は当時の予算書や日銀の出納帳(お金の出入りを記録する帳簿)などから調べました。
そして特別会計にはこんなものが特別会計として計上されていました。
■朝鮮食糧管理特別会計
朝鮮で食料の配給に使われたお金です。
■台湾総督府特別会計
台湾でのインフラに関するお金ですね。
■樺太庁特別会計
南樺太だけでは税金が確保できなかったりお金が無いので、南樺太に当てられたお金です。
この特別会計では7億8000万円が計上されました。
旧外地特別会計は2015年度の一般会計に計上される予定で、これを今まで承認待ちしていたのですが、先日(2017年6月8日)に衆議院本会議でようやく決算の承認がされました。
これによって、戦後70年経過してようやく会計上の処理が終わったわけです。
これが今回のニュースとなっているのですね。
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2017/06/09(金) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)