タカタが民事再生法を申請する事になりました。今回は何故民事再生法を行うのかわかりやすくタカタの話も踏まえて解説したいと思います。
タカタはシートベルトやエアバックといった自動車用の安全部品を製造、販売している会社です。
ところが、2000年~2008年の期間にタカタが製造したエアバックを搭載させた車でエアバックが異常破裂した事象が起こりました。
この件で、因果関係が不明なものも含めて世界で11人も亡くなってしまったのです。
タカタはこの事件について、不具合を知ってながら事件を隠蔽していたということで詐欺罪で刑事訴追(検察官が起訴すること)されました。
またホンダやトヨタの車はタカタが先頭に立って、リコールを行いました。
これらによって、タカタは1兆円の負債総額を負うと言う形になりました。
そこでタカタは民事再生法を申請することになったわけです。
会社が倒産するといいますが、倒産にもいろいろとあります。
会社の資産を全て売却して従業員もクビになって何も無くなるパターンがみなさんの倒産のイメージかもしれません。
しかし会社と言うのは倒産しても復活をするパターンがあるのです。
それが「民事再生法」という法律を使った復活のやり方です。
民事再生法というのは企業が経営危機(倒産する恐れがあるとき)に陥ったときに倒産の手続きを行って、早めに経営を再建することをいいます。
今回被害にあったのは、亡くなった方々やホンダやトヨタといった会社ですよね。
ですから亡くなった方に損害賠償をしなくてはいけないですし、企業にはリコールにかかったお金も払わなくてはなりません。
タカタがそのまま倒産してなくなってしまいますと、そういった方々にお金が返せなかったりする場合があります。
そこで、事業は継続して会社の利益で少しずつ借金を返していくのです。
民事再生法は特に大きな会社の再建に対して行われることが多いです。
小さな会社では設備も資金もブランドも乏しいですし、民事再生法を適用したとしてもその後経営が順調に行きにくいからです。
この民事再生法を行いますと「会社主導」で経営が再建されます。
どういうことかといいますと、似たような会社を復活させるパターンとして、「会社更正法」なんて方法もあります。
会社更生法では裁判所が認めた人だけしか経営の再建に関わってはいけませんよという特徴があり、経営者が再建には関われないのです。
しかし、民事再生法では倒産してもそのまま経営者や幹部が残って会社を再建しても良いことになっているのです。
また自分達でスポンサーを探すこともできます。
スポンサーが出資してくれることで、設備を大きくしてより早く儲けを出してそれを借金の返済にするのです。(タカタにはキー・セーフティー・システムズという会社がスポンサーに付き2千億円の出資をしました。)
ただし、従来どおりに簡単に経営はできません。
タカタは借金を返さなくてはなりませんから、タカタに勤めている社員の給料をカットしたり資産の売却や経費の削減などをしっかりと監視されますし、口を出されます。
今回は製造業の倒産としては戦後最大となります。
タカタは、シートベルトやチャイルドシートなどの事業を新会社として作り、以前の会社には債務だけを当てるというような会社にします。
分社化といって効率的に経営をしていくために、健全な部分だけを独立させて、債務だけを背負った会社だけを残していく方法です。
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ブログ管理人:大佐

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2017/06/19(月) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)