7月11日に日本の政府がTOC条約を結んだことがニュースとなっていますね。今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
まず、TOC条約という言葉から解説していきましょう。
TOC条約とはtransnational organized crimeの略称です。日本語に直しますと「国際組織犯罪」と言い、『国際組織犯罪防止条約』と呼んでいます。(パレルモ条約とも呼ばれています。)
世界では大きな犯罪が蔓延っています。
例えば人身売買、薬物の密輸、違法な武器取引、汚職や不正なお金の流出・・。
こういった犯罪には必ずと言っていいほどに大きな犯罪組織が関わっています。
このような犯罪組織に対して各国では頭を悩ませておりました。
そこで1994年にイタリアのナポリで犯罪組織に対処するための話し合いが行われ、大まかな枠筋が作られました。
それから「組織的な犯罪集団」による薬物の密輸や人身売買、武器の不正取引に対して国際的に取り締まっていくように方針が固まり、2000年にTOC条約(国際組織犯罪防止条約)が作られ、2003年に発行されたというわけです。
この条約には現在では187カ国もの国が加盟しました。
しかし先進国でもある日本はと言いますと、署名だけはしましたが加盟はしていなかったのです。
どういうことかといいますと、署名と言うのは簡単に言いますと『それに同意しますよー』と言ってサインをするだけです。
しかし、加盟はしてないのでその条約には参加はしていないのです。
なぜ署名だけして加盟はしなかったのでしょうか?それにはこんな理由があったのです。
『日本に条約を実施するための法律が成立してない』
ここで『改正組織犯罪処罰法』という言葉が関係してきます。
改正組織犯罪処罰法には新しく犯罪の処罰に対する罰則が記載されました。
それが『共謀罪』と『テロ等準備罪』に関する罰則です。
みなさんもこの言葉はニュースで聞いた事もあるかと思いますが、要は悪い人達が集まって、これから悪い事をする計画が発覚した場合は捕まえて処罰する事ができるというコトです。
この共謀罪とテロ等準備罪が改正組織犯罪処罰法に加わって、2017年6月15日に成立されたのです。
TOC条約は犯罪組織の防止をするというのが目的です。
ですからテロなど悪い事を計画した人を事前に発見して捕まえる事も内容に入っていますので、日本で改正組織犯罪処罰法が成立しない限りはTOC条約に同意はできても、実質的に参加する事ができなかったのです。
これがTOC条約に加盟できなかった理由ですね。
さて、日本もTOC条約にようやく加盟する事ができるようになりました。
日本政府は国連事務総長宛てにTOC条約の受諾書を預ける予定です。
受託書を預けてから30日後の来月10日にTOC条約の効力が発生します。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2017/07/11(火) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)