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出光と昭和シェルの合併で経営者側と創業家側が争っている理由と公募増資を差し止めした理由をわかりやすく解説して下さい



出光興産の公募増資に創業家が反対して差し止め要求をした事がニュースとなっていますね。
今回は出光興産に何が起きているのかをわかりやすく解説して行きたいと思います。



ガソリンスタンドでよく見かける出光はご存知かと思います。
ちょっと前に『海賊とよばれた男』という映画がやりまして、そのモデルにもなりました。(本も非常に面白いのでオススメです。)

出光興産は1911年に出光商会という小さな石油販売業から始まりました。
この出光は大変苦労をしてきた会社でして、国や石油業界旧勢力からの嫌がらせを受けたり、メジャー(海外の大手石油会社)と戦いながら、数々の型破りな方法で会社を大きくしてきました。

そして日本に安くて質の良い石油をたくさん提供してくれた会社です。
(このニュースは『海賊とよばれた男』を読むともっとわかりやすくなると思います。)

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出光興産は民族系石油会社(外国の会社からの資本を受けたりしないなど外国とは絡んでいない石油会社のこと)です。
社員の家族を含めて大事にする事をモットーとし、外国からの買収や金にモノを言わせた株主などを嫌ったために、操業が長いのに上場(証券取引所で株の売買ができるようになること)すら最近までしていませんでした。(2006年に上場)

一方、昭和シェル石油はゴリゴリの外資系企業(ある国で活動する外国の会社)です。

2015年7月30日、出光興産は昭和シェルの株式を買って経営統合すると発表し、この二つの会社が合併する話になりました。

しかし、これがものすごく現在こじれているのです。争っているのは出光興産にいる『創業家側』と『経営者側』です。

創業家は会社の設立当初から会社を守ってきた歴代の出光家の会長などがいらっしゃいます。現在は経営には関わってはいません。
経営者側は今の社長や取締役といった方々です。

合併の話は当初スムーズに行くと思われていました。何故なら石油の値段が下がってしまって利益を出すには企業も厳しく、合併して大きな会社にする必要があったからです。
また、合併すればそれぞれの会社が持っているノウハウを共有できるメリットがあったからです。

しかし、この合併の話は出光の創業家側にしっかりと伝わっていなかったのです。

そして創業家側が合併の話に反対したのです。

〜反対の理由①〜
買収か?合併か?

まず出光が昭和シェルを買収した場合、5000億円ほど必要になります。
しかし、出光の傘下に昭和シェルが入ることとなり、出光が主体で事業を行う事ができます。

しかし、そうではなく今回は『合併』という話です。

合併をしますと1690億円を出光が払うだけで済むのですが、その代わりに問題が発生するのです。

それは発行済み株数が増えてしまう事です。

発行済み株数というのは会社が定款(きまりごとみたいなもの)で決めて発行した株式の総数をいいます。

会社の資本や大きさによって発行する総数は違ってくるのですが、発行される株が増えてしまいますと、自分の持っている株式の保有率が下がってしまうのです。

グレープジュース10mlに水をたくさん入れればグレープジュースのパーセンテージが下がって薄まっていくのと同じような感じです。
(本当はもっと複雑なんですが、とりあえず二つの会社がくっついたら株の発行枚数が増えると考えてください。)

創業家は出光興産の大株主でもあります。
保有率は33.92%
合併した場合、この保有率が下がってしまうのです。保有率が下がると損をしてしまいます。

〜反対の理由②〜
昭和シェルとは合わない

そもそも、ジャパニーズカンパニーの代表格のような出光興産。
社風も独特で労働組合もありません(家族なんだから労働組合は必要ないという考え)

しかし、合併する昭和シェルは外資系の企業です。
企業の文化も働き方も違います。
労働組合だってあります。

二つの会社は確かに同じ石油販売会社ですが、よく見ると全然違うのです。
合併したらリストラや製油所を潰したりしなくてはいけなくなったりとすぐに問題が発生するのは目に見えているというわけですね。

〜反対の理由③〜
別の企業に乗っ取られる

実はこれも創業家は懸念を抱いています。
昭和シェルは自身の株式の10%をサウジアラビアにある石油会社、サウジアラムコに譲渡しています。

このような会社がさらに株式を購入してしまうと大株主となり、いずれ会社を乗っ取ってしまう可能性がでてきます。

創業家側は出光興産を残したいのです。

と、長くなりましたがこのような事で創業家側は反対しているのです。

さて、今回の本題に行きたいと思います。

出光興産の経営者側は公募増資をする事にしました。公募増資というのは新しく株式を発行して、今の株価の値段より少し安くして投資家に株を買って貰う事を言います。

なんでこんな事をするのかと言いますと普通は株を買って貰った資金を開発費などに充てたりします。

しかし、今回の目的は少し違うようです。

新しく株式を発行するという事は株式総数が増えます。そうすると先程も言いました通り、持っている株式の保有率が下がります。

創業家側では保有率は33.92%持ってると言いましたね?実は合併をするには株主の3分の1以上が拒否したら否決される決まりがあるのです。

つまり株式の発行数を増やして、3分の1を保持している創業家側の株式保有率を下げてやれば合併の話が決定しやすくなるわけです。

ただし、経営者側は否定していてベトナムでの製油所や有機EL事業に使うと言っています。

会社法では企業の株式発行が不公正な場合は株主が差し止めを請求できる事になっているので、創業家側は新株の発行の差し止め請求をしたのです。

これが今回のニュースですね。
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大佐
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2017/07/19(水) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)

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