エジプトの前大統領、ムハンマド・モルシ氏が終身刑となる事が決まりました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきたいと思います。
ムハンマド・モルシ(ムハンマド・ムハンマド・ムルシー・イーサー・エル=アイヤート)前大統領は
エジプトの第3代大統領でした。
モルシ前大統領は2012年6月30日〜2013年7月3日まで大統領をしていました。
少し話は戻りますが、みなさんは『アラブの春』というのをご存知でしょうか?
2010年にチュニジアから広く拡散されて行った民主化の革命運動の事を言います。
チュニジアでは高い失業率と政治の腐敗によって、民衆の不満が爆発して大きなデモとなりました。それによってチュニジアの大統領が逃げてしまい、独裁政権が崩壊しました。
これが飛び火してチュニジアからエジプトへも広がりました。
エジプトもチュニジアと同じような経済状況にあり、常に非常事態宣言が出されていました。
というのはサダト大統領という大統領が暗殺されてしまい、ムバラク大統領が大統領の座に1981年から就いて以来、非常事態宣言を出していたのです。
非常事態宣言の間は大統領の命令で臨時に憲法を改正する事ができたり、軍に命令したりできます。
ムバラク大統領は非常事態宣言を良いことに独裁政治をしてしおり、軍部もその恩恵を得ていました。
しかし、チュニジアの飛び火によって、2012年にムバラク大統領は辞任して政権を剥奪されたのです。
俗にこれを『エジプト革命』とも呼んでいるのですが、この時に今までムバラク政権に弾圧されていた『ムスリム同胞団』という組織が活躍しました。
ムスリム同胞団は穏健派で民主化を望む病院や学校を作ったり、慈善活動をするような大きな組織です。
このムスリム同胞団の出身者の一人がムハンマド・モルシ前大統領です。
ムバラク大統領に変わって新しく民衆から選ばれたモルシ新大統領に皆は期待しました。
ところで皆さん、アラブの春の革命は成功だったと思いますか?
残念のながらこの革命は失敗だったと言われています。と、言うのはこの革命によってさらに政治・経済は混乱してしまったからです。
治安の懸念からエジプトに日本人の観光客が足を運ばなかった事がこの時ニュースで報道されました。
革命が起こりモルシ大統領に変わってもエジプトの経済は一向に良くなりませんでした。
おまけに大統領命令を強化したりムスリム同胞団で政治を固めようとしたのでまたまた民衆から不満が出てきてしまったのです。
そして2013年7月。
エジプトの軍部によるクーデターが起こります。
これによってモルシ新大統領は軍に逮捕されて大統領を失脚してしまったのです。
わずか1年たらずの大統領でした。
その後に新大統領となったのは軍出身者である、シシ氏(アブドルファッターフ・サイード・フセイン・ハリール・アッ=シーシー)が大統領になったのです。
さて、民主化をの為に革命が起こりましたが、結局新しくシシ大統領が就任して軍部(シシ政権)が政権を握り事実上の独裁政治に戻ってしまったエジプトです。
民主化に加担した人物は死刑もしくは終身刑となりました。ムスリム同胞団はもちろん、モルシ前大統領も死刑判決が下っています。
しかし既に死刑判決が下っているモルシ前大統領ですが、さらに刑が追加されました。
罪名は『機密文書漏洩』
実はムスリム同胞団というのはカタールの支援を受けていた組織と言われています。
カタールはサウジアラビアを始め中東から敵国と見なされ、現在は国交が断絶状態です。
何故ならカタールはテロを支援している国と見なされているからです。
今のエジプトのシシ政権もカタールをテロ支援国家と見なしています。
そしてこのテロと見なしている組織がムスリム同胞団なわけですね。
モルシ大統領はこのカタールに重要な機密文書を公開していたとされて、機密文書漏洩の罪が追加されたというわけです。
今回はこのような事がニュースとなっているのです。
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2017/09/19(火) | 政治のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)