バーミヤン遺跡の大仏を復元をしようというシンポジウムが都内で開かれた事がニュースとなっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
まずバーミヤン遺跡が何処にあるかを確認しましょう。バーミヤン遺跡はアフガニスタンの首都カブールから230キロほど行った山岳地帯にあります。
バーミヤンは『光り輝く土地』を意味していまして、この土地にはバーミヤン、フォーラーディー、カクラクという3つの谷があり、これらの地域を総称としてバーミヤン地域と呼んでいます。
バーミヤンの見どころは何と言っても石窟です。
石を削って作られた石窟寺院や大仏などですが、1世紀頃から石窟寺院が徐々に作られて行きました。
いつからこの地域で仏教が広まっていったかは不明ですが、5世紀から8世紀にかけては巨大な仏像が作られたり壁画が描かれて、バーミヤン地域は大いに繁栄して行きました。
現在残されている1番正確な情報と思われるものは630年頃に唐から来た僧が書き記した『大唐西域記』にこれら仏像の大きさなどが記してあります。
そんな歴史がある過去の遺産に2001年に悲劇が起こります。
高さ55メートルの大仏(男像)と38メートルの大仏(女像)2体が爆破されてしまうのです。これだけでなく、貴重な壁画なども破壊されてしまいます。
この破壊されてしまう映像はYouTubeなどにもありますので是非見て頂きたいのですが、本当に痛ましい出来事です。
破壊したのは旧タリバン勢力の指導者などです。
タリバンとは内戦によってパキスタンに逃れた難民、パシュトゥーン人(アフガン人)が、そこで厳格なイスラム教や武器の扱い方を学び2001年11月ごろまでアフガニスタンの聖戦の為に軍事活動をした人達です。
なぜ彼らは歴史的な仏像や壁面を破壊してしまったのでしょうか?
それにはイスラム教という宗教に関係があります。
イスラム教徒は偶像崇拝を禁止しています。
偶像とは石や土といったもので具体的な物質を表したものをいい、崇拝とはあがめ敬うことを言います。
私達日本人は、神社やお寺などに行った時に仏さんに手を合わせて拝みますよね。
イスラム教はこういう行為は禁止されているのです。
イスラム教の唯一の神はアッラーです。
アッラーはすべての物を作り出した神だと言われています。
仏でさえもアッラーが作り出したものとされていますから、もし仏さんに手を合わせてしまうとアッラーも仏も同格の地位という意味になってしまいます。
ですから祈りはアッラーだけに対して行われるものであり、偶像を崇拝する行為はアッラーをけがす行為になってしまうのです。
大昔に仏教だった地域がイスラム教圏になると、こういった仏像の大体は顔を削りとられてしまいます。
偶像崇拝を禁止してますから、顔だけを削ってしまい祈っても無駄だよーとしてしまうのです。
タリバンはイスラム原理主義者です。
イスラム原理主義者はイスラム法に基づいて国家や社会を統制すべきと主張する保守的な人々ですから、顔だけを削るだけでなく爆薬を使って像を徹底的に破壊したり、壁画を消してしまったのです。
また、自分達の宗教を世の中の人に主張するためでもありました。
このような理由で破壊をしてしまったのですね。
2003年、バーミヤン遺跡はユネスコ世界遺産登録に指定されました。
破壊された後にはどのようにして復元して行くかが非公開で話し合われていましたが、今回は公開しながら話し合いが行われました。
元の場所に復元するか、破壊された大仏をそのまま残して別の場所に作るかなど意見が分かれました。
今回はこのような事がニュースとなっているのですね。
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ブログ管理人:大佐

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2017/10/02(月) | 宗教・戦争のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)