薬害肝炎救済法の被害者給付金の請求期限が2023年の1月まで延長する事になる事が決まりそうです。今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
まず『薬害肝炎』とは何かという事ですが、字を見ますと薬による何かの害が起こったように見て取れますね。
この薬害肝炎とは輸血や出血しやすい病気の治療や予防薬として使われた血液製剤を患者さんに投与して引き起こされた病気です。
みなさんの中には献血の経験はあるでしょうか?(ちなみに私は献血でブッ倒れた経験があります。)
この献血された血はもちろんそのまま他の誰かに輸血する事ができません。
まずは集められた血は血液センターに運ばれます。
そして血液型検査から始まりさまざまな精密血液検査が行われた後に血液製剤が作られます。
まずどのような検査を行うかと言いますとこんな感じです。
・梅毒検査
・エイズウイルス検査
・B型肝炎ウイルス検査
・C型肝炎ウイルス検査
・ウイルスなどだけでなく血液の成分(ヘモグロビンとか白血球の数とか)
・・・など。
そして、これらの血液から『血液製剤』という物を作ります。
血液製剤というのは集められた血液を成分ごとに分離して人工的に作ったものです。
例えば血液に含まれる白血球や血小板の大部分を取り除いた「赤血球製剤」。
これは文字通り出血や赤血球が足りなくなったりした人に使われます。
また「血小板製剤」というものがあります。こちらは血液を止血する血小板だけを集めた血液製剤です。出血傾向のある方に使われます。
なぜこうして分けているのかと言いますと、血小板製剤だけが欲しいのに赤血球製剤も混ざっていたら赤血球製剤は無駄になってしまいますよね。
だから、それぞれを必要とされる患者さんの為に分けて作られているのです。(一応「全血製剤」という全部が混ざったものもありますがあまり使われません。)
さてこれら血液製剤を作る工程(特に検査)は超精密に行われています。
しかし、これは現代だからこその話です。
実はひと昔前はこの献血検査はそんなに精密には行われていなかったのです。
先程の検査項目の中に『C型肝炎ウイルス検査』とありましたね。実はこれが原因で今C型肝炎で苦しんでいる方が大勢いらっしゃるのです。
C型肝炎にかかりますと、全身がだるくなったりむくみや黄疸、そして肝硬変や肝臓ガンになったりする怖い病気です。
現在この病気に苦しんでいる方が国内で100〜300万人いるとされています。
何故こんなにも沢山の方がいるかと言いますと、先程申しました通り、昔は精密な検査がされておらず、C型肝炎ウイルスに汚染されていた血液製剤やフィブリノゲンという止血剤を投与されてしまったからです。
実は1964年にこの血液製剤が製造・販売されていた時には、C型肝炎(当時はまだ血清肝炎と呼ばれていました。)は血液から感染するというのは医学の中で既に知っている事でした。
しかしながら1994年9月になるまでC型肝炎を防ぐ為の処理や検査が全くとは言いませんが、不完全なままだったのです。
それを知っていながら血液製剤を販売していた製薬会社や国にも責任があり、また投与した患者が分かっているのに告知もしなかったという事で訴えたわけです。
そして2008年、ようやくこの訴えが認められ薬害肝炎被害者を一律救済する法案ができたのです。
しかし国内にはまだまだ救済されてない患者さんが多くいらっしゃいます。というのはC型肝炎は自分がなっているかどうか分かりにくいので、自覚していない患者さんも多くいるからです。
そういう事もあり、2023年の1月まで被害者給付金の請求を延長する事にしようとなっているわけですね。
今回はこのような事がニュースとなっているのです。
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ブログ管理人:大佐

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2017/11/16(木) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)