財務省が一般会計として計上したお金を国土交通省の自賠責保険特別会計として返還する事がニュースとなっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
自賠責保険は車に乗車する方は法律で必ず入らなくてはいけない保険です。その為、強制保険などと言います。
何故ならもしも事故を起こしてしまったら、加害者にとっては支払いきれないほどの補償金を払わなくてはいけなくなりますし、被害者も加害者に支払い能力がなければ充分な補償は受けられなくなるからです。
そこで自賠責保険に加入して最低限の補償ができるようにしているわけです。
さて、あなたが自賠責保険に加入して払ったお金は保険会社を経由して国土交通省で最終的に管理されます。
ですからもし自分が車にぶつかって怪我をして補償金を貰うことになった場合は、保険会社を経由して、国から貰い受けるわけですね。
だから日本人が自賠責保険に加入したお金は全て国土交通省で管理されているわけです。
この自賠責保険で徴収したお金は国土交通省で『特別会計』という分類で管理されています。
国には『一般会計』と『特別会計』という会計上の処理があります。
何が違うのかといいますと、一般会計というのは使用用途が決まっていない税金のことです。
例えるならあなたのおサイフの中身ってとこですかね?帰りにコンビニでアイスを買うかもしれませんし、靴を買うかもしれませんが、「これに使う!」と決まってはいないですよね?
税金も同じで、しっかりとこれに使用するというのがあまり決まってはないのが一般会計なわけです。
一方、特別会計というのはしっかりと使用用途が決まっていたり、回収出来る人物が特定できる税金の事を言います。
例えばガソリン税の収入って、車に乗っている人だけしか原則回収しないですよね?また使い道も主に道路整備にしか使いません。
ですから、もし一般会計の税金の収入と特別会計の税金の収入を一緒にしてしまうと、国民から「どこからいくらの税金の収入があったのか」がわからなくなってしまうのでこうやって分けているわけです。
自賠責保険も自動車に乗っている人からしか回収しませんし、使い道も交通事故にあった人への補償と決まっているので「特別会計」として計上されているのですね。
では、この自賠責保険に対して何をニュースで言っているのかと言いますと、争っているのは『財務省』と『国土交通省』です。
事の発端は平成6年から7年の事です。
この頃はバブルが崩壊して日本に経済危機が訪れていた時代です。
政府は税金の収入より支出がはるかに多すぎる「財政赤字」状態でした。
そこで財務省は国土交通省の自賠責保険のお金、1兆1200億円を利子付きで借りて、一般会計として計上して補填したわけなんですね。
当然借りたものは返さなくては当然いけません。
今まで何度か催促をしていくらかは返せたんですが、しかしながら財務省は「ゴメン、お金無くて返せないの。」と財政上の理由で返せない状況となっているわけです。
その額は利子を含めて約6100億円。
実は自賠責保険の収入は全然ありません。
ほら、車に乗る人だって減っているわけですから、自賠責保険の収入も少なくなってきているんです。
ですから、国土交通省ではいままで貯金していたお金から毎年100億円ずつ切り崩して使っているというわけです。
もしも自賠責保険のお金が無くなってしまったら、私達も事故に会った際は補償を受けられなくなってしまうかもしれないのです。
このままでは十数年で自賠責保険の貯金が底を尽きるぞ!
財務省はすぐに返してくれ!
と、こういう話なんですね。
これを受けて財務省は15年ぶりに20数億円を2018年度の特別会計に戻すと約束したのです。
また2019年度以降も返還を継続する方向でもいるとの事です。
これが今回のニュースですね。
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2017/12/18(月) | 政治のお話 | トラックバック(0) | コメント(2)