イランの各地で反政府デモが起こっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきましょう。
まずイランの場所を確認しましょう。
イランは北にあるカスピ海と南にあるペルシャ湾に挟まれた国ですね。
人口は約7800万人、石油埋蔵量で言えば世界では第4位、天然ガスに至っては世界1位の埋蔵量を誇る国です。
天然資源がこんなに多いのなら、さぞかし裕福な国と思うかもしれません。
しかしそんなイランですが失業率は13%(若者に限ったらもっと失業率が高いです。)、さらに物価高などで経済的には全然豊かではありません。
つまりこのような経済的不満により昨年末からイランの各地で反政府デモが起こっているのです。
何故このような事が起こってしまっているのでしょうか?
イランの宗教はイスラム教です。
よく中東の宗教で「イスラム教」が出てきますが、イスラム教にもたくさんの宗派があります。日本の仏教でもいろいろな宗派があるのと同じ事です。
イランはイスラム教の「シーア派」という宗教が全体を占めています。しかしイランの周辺諸国を見てみますとイスラム教ではあるものの違う宗派が占めている事がわかります。
例えばですがサウジアラビアやトルコは「スンニ派」という宗派が全体を占めており、シリアでは「アラウィー派」という宗派があったりもします。
周辺諸国でもスンニ派の方達はいらっしゃいますが、割合としては少ないのです。
またイランは過去にイラクと戦争をしたり、イスラエルと対立をした事があります。
ですからイランという国は中東の周辺諸国と比べますと、かなりあつれきがある国なのです。
こうした事でイランは自分の国を守るために秘密裏に核開発を進めたのです。
ですが秘密裏に核開発をしていても今の情報力は凄まじくすぐにバレてしまいました。(2002年の事です。)
イラクは原子力発電などの平和的な利用の為に核開発をしていると述べましたが、核兵器の為に行っているのは明白でした。
そこで欧米諸国始め国連でこれ以上核開発をさせてはいけないとなり、2006年7月31日にイランへの経済制裁が行われたのです。
経済制裁というのはその国と貿易をしたり渡航を禁止して村八分にさせ、経済的な損失を与えてしまうことです。
日本も国連の加盟国ですからイランとの貿易などは制限されました。
こうしてイランは天然資源があるにも関わらず、それらを売る事ができない状況となり経済的にどんどん落ちて行ってしまったのです。
しかし、2013年の大統領選で当選したハサン・ロウハーニー氏がきっかけでイランの体制が変わりました。
ロウハーニー大統領は「穏健派(ミサイルを撃つような強硬手段を用いず、 穏やかに解決しようとする立場の人)」なシーア派の方です。
この大統領が欧米諸国などをはじめ、平和的に関係を改善する姿勢を見せました。
そして核開発を制限する合意が行われたのです。
例えば15年間は核兵器向けの高濃縮ウランの製造をしないですという約束などです。
もちろん見返りは経済制裁の解除です。
これによって核合意がなされ、2015年にイランへの経済制裁が解除されたのです。
経済制裁が解除されたなら経済も持ち直すのでは?と思うかもしれませんが、しかしながらニュースの通り現在もイラン各地でデモが起こっています。
なぜなら一度落ちた経済が上向くには時間もかかりますし、なかなかイラン国内で実現していないことがたくさんあるからです。
ですから「経済制裁解除したけど一向に生活が豊かにならないじゃないか!」と国民の不満が募り、政府へのデモが行われているわけです。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/01/03(水) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)