優生保護法のもとで不妊手術を行なった事をめぐり、厚生労働省が早ければ来月下旬から全国調査を始める方針を伝えました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きましょう。
今年に入って、優生保護法という言葉と共にデモを行なっているシーンをテレビなどで見かけるかと思います。
優生保護法という単語がテレビで出始めたのは、今年の1月に国を相手取って女性が裁判を起こした事がきっかけでした。
優生保護法は1948年に日本で作られました。
第二次世界対戦が終了してからすぐの事ですね。
優生とは「優生学」から来ています。優生学とは遺伝子的に良い遺伝子だけを残そうという考え方です。
例えば体に障害がある方や精神病を抱えている方が子孫を残した場合に、その子孫も受け継いでしまうとか、逆に健全な体を持った人の子孫は健全な体を受け継ぐという考えです。
優生学はイギリスのフランシス・ゴルトンという人物が考えたのですが、1904年に優生学を唱えてこの考えが世界中に広まりました。
ここから世界中がおかしな事になり始めます。
優生学をベースにした考え方になっていくのです。
例えばアメリカでは「断種法」という法律が州のあちこちで出来上がります。先天性な病気や障害を持った方などに対して、去勢手術をしてしまうのです。
犯罪者なんかも遺伝子的な問題が関係しているという事で去勢手術されてしまいます。
ドイツではヒトラーが政権を獲得しますと過激化して、断種法が作られます。
そして同じように身体や精神に障害を持った方は殺されてしまいます。
犠牲者は10万から20万人にも及ぶと言われています。
このように優生学は世界中で大ブームという背景でになり、日本でもこの考え方を支持するのです。
日本では優生保護法という法律ができる前に「国民優生法」という法律ができました。
これは精神病やハンセン氏病、結核などの病気を抱えた方に対して去勢手術をしたり中絶をさせるものでした。
ただ当時はこの考え方に対して反対する方も多く、また戦争中で、産めよ増やせよが奨励されていたので、断種の実行には様々な制約が課せられていました。
そして戦争が終わりますが、親の障害や疾患がそのまま子どもに遺伝するという考えは引き継がれ、優生保護法が1948年に作られます。
これにより、医師が不妊手術の必要性があると診察して、各自治体に設けられた審査会が許可を出せば強制的に不妊手術を行うことができるようになってしまいました。
しかも男性も女性も本人の同意なしです。
手術は時に別の手術だとだまして行われている事もあったようです。
この法律ですが、なんと1996年まで普通に残っていました。(1996年の法改正によりなくなります。)
強制的に不妊手術を受けさせられた人は男性は3割、女性は7割、全国でおよそ1万6000人にのぼるとされております。
しかし被害者の一人の女性をきっかけにこのような方の救済に向けた動きがいま急速に始まっていますが、残念ながら26の道府県で合わせて3300人分しかなく、2割ぐらいしか記録が残っていません。
そこで厚生労働省は関連資料を保存するように都道府県に要請したうえで、さらに実態を把握するために調査を始める事にしたのです。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/03/29(木) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)