なかったはずのイラクの日報があったと言うことでニュースになっていますね。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
イラクへ自衛隊を派遣したのは2004年の事ですね。自衛隊を派遣した理由はイラクの人道復興支援活動の為です。
医療を指導したり給水車でお水を運んだり、学校や道路の修復を行いました。
なんでイラクなの?という事ですが、イラクはアメリカやイギリスと2003年にイラク戦争をしていました。
フセイン像が最後は倒され、最終的にフセイン大統領も捕まりイラクは負けました。
この戦争によって街や道路、インフラ設備などが破壊されてしまったのです。
これに伴いまして、アメリカやイギリスが「日本も手伝ってくれ」という事で派遣する事になったのです。
しかしながらこれが日本の憲法やらと絡んで非常にめんどくさい話になるのです。
まず日本には「PKO協力法」という法律があります。国連から人道支援や復興支援をお願いされた場合には自衛隊を海外に派遣できる法律です。
(平成4年(1992) 成立されました。)
この法律ができたきっかけは1990年の湾岸戦争で、アメリカを主導とする連合軍に対して、日本はお金だけ払って戦争を支援して、おしまいとなったからです。
というのは憲法で自衛隊を海外に派遣する事ができなかったので、お金を払って支援するぐらいしかできなかったのです。
しかし「金払っただけかーい!」という批判が起こってしまったので、海外にも自衛隊を派遣できるようにしようとしたわけです。
しかし海外へ自衛隊を派遣するのは憲法違反。
そこで国連が行なっているPKO(平和維持活動)からの要請のみ協力はOKというように法律を作ったのです。
ですが、PKO協力法が出来たからと言っても大砲や銃弾が飛び交う地方に派遣した場合は、自衛隊も戦争に巻き込まれてしまいます。
自衛隊はあくまで「自分の国」を守る為なら武力を行使してもよいのですが、派遣した地域で武力を使いますと「他国の為」となってしまうので憲法違反なわけです。
そこでPKO五原則という条件を作り、この条件が満たされていない場合は自衛隊は海外に派遣できないようにしたのです。
PKO五原則はこんな内容です。
●戦っている国同士が停戦合意されていること
●戦っている国同士がPKOの介入を認めていること
●PKOは中立の立場であること
●上のこと守れなきゃ自衛隊は撤退できまっせ
●武器の使用は自分を守る為に必要最小限であること
「この条件の下でなら海外への自衛隊派遣はOKよ」としたのです。
では冒頭の話に戻ります。
この時のイラクへの自衛隊派遣要請ですが、「国連」ではなく、「アメリカ」なんですね。
つまり、PKO協力法は当てはまらない・・。
「PKO協力法が当てはまらないから行けません!」と言いたいところですが、やはり日本だけがこのように主張してしまいますとひんしゅくを買います。
「他の国もイラクへ行って治安維持活動などをしているのに、日本はまた金か?」となるわけです。
そこで、こんな法律を期間限定で作りました。
「イラク復興支援特別措置法」です。
これはイラクだけは特別に国連の要請じゃなくても行けますよというものです。
ただし、PKO五原則のルールに基本的にのっとります。そして期限は4年間(2年間延長されます)限定です。
こうしてイラクへ自衛隊がたくさん派遣されました。
さて、ようやく本題に入れるのですが、このイラクに派遣した際の自衛隊の日報が問題になっているのです。
自衛隊がイラクに派遣された後、自衛隊の隊員は天候や情勢、隊員の状況、任務の成果と言った情報を書いていました。
しかしこの日報の存在がわからなくなってしまうのです。当時の防衛省の一番偉い稲田朋美防衛相は「残っていない」と答えていました。
残っていないというのは、「破棄されたのかわからないけど、とにかく日報が存在していない」という事です。
「日報が無いなんておかしいじゃないか!」
と、当然なりました。
自衛隊の偉い方も無いと報告しています。
常識的に考えれば大々的に報道されて、イラクへ派遣された自衛隊の日報ですので残しておくはずですが、無いのは何だか怪しいですよね?
そこで「誰かがこの日報を隠している」となったのです。
実は自衛隊が以前、南スーダンにも派遣(国連から要請されて2012年から2017年5月まで行きました。)された際にも同じようなことが起こりました。
日報が有るとか無いとかになり、公開するように請求をしたら、黒塗りだったと言うことがありました。
ここでも誰かが隠しているとなり隠蔽問題が起こりました。
そして最近になって、ないと言っていたイラク日報が実はあったと報告がされ、これがニュースで話題になっているのです。
仮に隠していたと言う事であれば何で隠したのか?
という事ですが・・
実はイラクにしても南スーダンにしても現地ではこんな状況下で自衛隊が活動していたんじゃないか?と言われています。
銃弾が飛び交う戦闘地域での活動だった。
PKO五原則を思い出して頂きたいのですが、自衛隊が派遣しても良い地域と言うのは、停戦されている地域です。
しかし、戦闘地域での活動となってしまうと違反になってしまのです。
またもし大規模な戦闘が自衛隊と派遣された国とで起こっていたら、憲法違反となってしまうのです。
こうなっていた事実が日報に書かれていて、それが露呈してしまった場合は・・大騒ぎになりますね。
こういった事実を隠すために日報を隠す必要性があったと見られているのです。
どんな理由でなぜ日報がなかったのか?
本当に隠蔽していたの?だとしたら誰が?
などといった事が今後さらに論争が高まりそうです。
これが今回のニュースですね。
▼大佐のブログが本になりました。

自己紹介
ブログ管理人:大佐

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2018/04/07(土) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)