アメリカで金融規制改革法(ドッド・フランク法)の大幅な見直しを盛り込んだ法案が賛成多数で可決された事がニュースとなっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
ドッド・フランク法は通称、金融規制改革法と言います。正しくは「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」なんていいます。
文字から察する通り、金融関係の話で何かの規制を行った感じで、消費者を守る法律だと感じ取れたかもしれません。
2008年9月15日にアメリカでは大変な事が起こりました。
リーマン・ブラザーズ・ホールディングスと呼ばれた大手投資銀行が破綻したのです。
投資銀行と言うのは、日本で言えば証券会社に当たりますが、そのままだとちょっと誤解が生じますので解説していきます。
普通の銀行は企業なども確かに含まれますが、一般的には個人のお客さんが対象です。
しかし、投資銀行は企業が対象のお客です。
また違うところは預金を預かったり、お金を貸したりする事もありません。
何をするかと言うと、企業に対してアドバイスしたり支援したりして、その見返りとして報酬を得るのです。
例えば企業が合併や買収する際に代理として間に入って交渉をしたりします。金融の知識に長けているので、交渉がしやすくなります。
また事業を拡大したいのにお金がなくて、銀行からもお金が借りれない会社があったとします。そこでその会社は投資家から資金を得ようと考えます。
しかし上場(上場すると証券会社で株を売買できるようになります。)していないので、とりあえず株式を発行して、それを投資銀行に一旦全部買い取って貰います。
そして投資銀行が投資家にギリギリ買ってくれそうな値段を付けて株を売りだします。
投資家が売り出した価格より高い値段で買ってくれれば、その差額が投資銀行に入り、投資銀行に買い取って貰った会社も資金を調達できます。
証券会社を通して株を売れないので、直接株を投資家に購入して貰うって事ですね。
まあこんな事をするのが投資銀行です。
で、リーマンブラザーズは破綻したんですが、何でかと言いますと、サブプライムローンでアメリカが失敗したからです。
サブプライムローンは簡単に言うとフリーターみたいな年収が低い人でもローンが組めますよ!と言うものです。
サブプライムローンは家を買っても低金利でローンが組めるのですが、徐々に金利が高額になって行くのが特徴です。
金利が上がるので貸し手側は儲かります。
でも金利が上がるとローンを組んだ人は返済に苦しんでしまいますので、お金を返せなくなってしまうかもしれませんが、この時の時代背景が味方します。
仮にローンを返せなくなっても、土地や住宅の価格が上がっていたので、売ってしまえば儲かったりしたのです。
アメリカはこれで好景気になり、さらに儲ける為にサブプライムローンを証券化します。
つまり株のようにしちゃったのです。
しかし、バブルは弾けるものです。
土地や住宅が供給過剰になり、価格が一気に下がってしまい、ローンを組んだ人は住宅を売ろうにも安すぎて売れず、ローンも返せなくなってしまったのです。
そうなると貸し手側も金利どころかお金が返ってこなくて、サブプライムローンの株価も下がり投資家も損をするわで、アメリカの経済は一気に下降したのです。
リーマンブラザーズもこの影響を受けて破綻しました。
そこでこんな事にならないように2010年に制定されたのが、ドッド・フランク法です。
これは自己資金に対してリスクが高い金融商品に投資する事を規制する法律なのです、
だからフリーターみたいな人が住宅ローンを組む様な事はできなくなるのです。
これをボルカー・ルールなんて言います。
金融を監視する人達もいますし罰則もありますから、内緒でやる事もできません。
ドット・フランク法になりますと、銀行なんかは非常にネガティブになってしまいます。
リスクがある投資などが制限されるので、大きく儲かりません。
こうなると銀行だけでなく、アメリカ全体の景気も良くならないと言うわけです。
さあ、そんなドット・フランク法の大幅な見直しをしようと言う事で、アメリカ議会で賛成258、反対159の賛成多数で可決されました。
そしてトランプ大統領に可決されたという事で署名するように送られました。
トランプ大統領は署名すると思いますか?
はい、トランプ大統領は大統領選でドット・フランク法を見直すことを公約に掲げていたので、もちろん署名すると思います。
アメリカはまたサブプライムローンの様な事になるんじゃないかと懸念して反対の声も出ています。
これが今回のニュースですね。
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2018/05/25(金) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(1)