東京都の工業用水道を廃止する方針を固めた事がニュースとなっています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
大正時代の中頃から高度経済成長(1970年ごろ)にかけて、東京都江東区では深刻な問題が起きていました。
地盤沈下です。
江東区は東西線で言えば木場や門前仲町の駅があったり、東京ビッグサイトやお台場海浜公園などがある辺りです。
この土地は江戸時代から昭和にかけて埋め立てによって作られた人工的な土地です。
徳川家康が江戸城の城下を広げる為に埋め立てが始まり、またゴミを埋めて土地が作られました。
行ってみるとわかるのですが、非常に低い土地です。一部では海抜ゼロメートル地帯なんて所もあります。
この低い土地で経済活動をする為に地下から沢山の水が揚水(ようすい)されました。特に戦後からは沢山の工場が立ち並び、揚水されたのです。
地盤沈下は地下水の組み上げをすると、その部分が空気と入れ替わって空洞化してしまいます。
そして空洞化した部分が地表の建物などの重みに耐えきれなくなって、陥没したり地表全体が低くなってしまうのです。
一度地盤沈下してしまいますとほぼ元にはもどりません。
江東区では大正時代から全体で実に4.5メートルも沈下してしまいました。
そして、海の高潮や荒川などの水害の被害を受けてしまいました。
そこで東京都は1951年に「東京都地盤沈下対策調査協議会」を作って対策を行い出し、地下水の汲み上げに規制をかけました。
そして代わりに整備されだしたのが東京都の工業用水道でした。
私達一般人が使用する上水道や下水道の他に別の配管を作って、工場に給水されるようになったのです。
給水は1964年から墨田区、江東区、北区などへも開始されました。
しかしピーク時には664件の企業が使用していましたが、その後は工場が移転するなどして年々減少していきました。
そして去年3月末の時点では185件程しか使用しなくなり、工業用水はあまり使用されなくなってしまったのです。
需要が減る一方で、工業用水の維持はお金もかかり、また老朽化しているので年間で5億円も赤字となってしまい、新しくしても2300億円が必要となってしまいます。
そう言ったわけで廃止にしようと言う事になったのです。
ただ、廃止にしてしまうと現在の上下水道を使う事になり、工業用水を使用していた企業のコストはかさんでしまいます。
中小企業は料金を据え置いて欲しいと意見や段階的に上げるなどをして欲しいと言う意見が出ています。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/06/05(火) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)