コロンビア革命軍(FARC)と和平合意の見直しを訴える右派のイバン・ドゥケ氏が大統領に選ばれました。
今回はコロンビアとコロンビア革命軍(FARC)の話を織り交ぜながら、大統領選の話をわかりやすく解説したいと思います。
コロンビアは南アメリカの北西部にある国です。
首都はボゴタ、昔はスペインの植民地だったので、公用語はスペイン語が話されています。
コロンビアは長いこと内戦が行われていました。
なんと50年ほども続いていたのです。この内戦で推定22万人が亡くなったと言われています。
誰と誰が戦っていたのか?ですが、「政府」と反政府軍である「コロンビア革命軍(FARC)」です。
コロンビア革命軍は左翼派の組織です。
右翼と言うのは従来の考えを保ち続ける(これを保守派なんていいます。)組織で、新しい考えを取り入れて、改革を進めていくような組織が左翼です。(これを革新派なんていいます。)
つまり、政府側は右翼、コロンビア革命軍側は左翼なわけですね。
コロンビア革命軍は1964年ごろ自警団から結成されたと言われています。(ゲリラから結成されたとも言われています。)
貧困国では警察などが治安を抑えきれないので、よく自警団と言って、警察のように犯罪者を捕まえたりする組織が出来たりするのです。
この組織は当時のソ連の考え方である、「共産主義」の考え方を主張していました。
共産主義とは国民が働いて得られた富(お金や財産)を国民全員で共有し、それを分配する経済のしくみの事です。
資本主義は自分が稼いだお金は自分のモノと言う考えですよね。
一方、コロンビア政府は共和制を取っていました。アメリカと同じような政治体制です。
共和制を取っていた事により一部の富裕層だけが豊かで、貧困層はなかなか生活が豊かにならないので、共産主義の考え方を進めて行こうと広まったわけです。
これを支援したのがソ連(今のロシア)やキューバです。同じ共産主義の考え方に同調して支援をしたのですね。
コロンビア革命軍はソ連やキューバが支援した事で武器が購入したり、麻薬や誘拐などを収入源としていた事で急速に成長して、大きな組織となりました。
一方、コロンビア政府にはアメリカ側が付きます。
共和制と同じ考えに同調して支援したのです。
この頃の時代はアメリカとソ連が敵対関係にあった冷戦時代です。(アメリカとキューバも敵対関係)
ですから、コロンビアを挟んでアメリカとソ連の代理戦争のような事が起こっていたわけですね。
しかし、ソ連が1991年に崩壊してしまい支援してくれなくなったので、コロンビア革命軍はこの時から一気に形成が悪くなります。
それでもまだ大きな組織だったコロンビア革命軍でしたが、2001年のアメリカ同時多発テロが起きた事で決定打を受けます。
国際社会がテロやゲリラなどの組織に厳しくなる風潮になり、コロンビア政府もコロンビア革命軍に対して厳しい姿勢を取るようになったのです。
そして武力によって鎮圧をして、ついに弱体化したコロンビア革命軍は、政府と和平交渉を結ぶ事となりました。
ではここで最近のコロンビアの大統領を紹介します。コロンビアの大統領も4年任期で、選ばれれば2回までは連続して大統領になれます。
・2002年〜2006年:アルバロ・ウリベ
・2006年〜2010年:アルバロ・ウリベ
・2010年〜2014年:フアン・マヌエル・サントル
・2014年〜2018年:フアン・マヌエル・サントル
・2018年の8月から就任:イバン・ドゥケ
大統領の就任時代がわかると、この話がだんだんと分かってきます。
政府がコロンビア革命軍を武力で鎮圧したのが、アルバロ・ウリベ大統領でした。
ウリベ大統領は父がコロンビア革命軍に殺されてしまった過去もあり、強い恨みも持っていたので、武力で鎮圧をさせて、弱体化させました。
そしてあと一歩という所で完全に鎮圧できずに次の大統領である、サントル大統領に変わりました。
サントル大統領はコロンビア革命軍へ条件付きで和平交渉を行ったのです。(もちろん全大統領のウリベさんは反対。)
これによってコロンビア革命軍は武装を解除したのですが、「今まで散々酷いことをしていたのに和平交渉なんかは許せない」という国民のしこりは残りました。
そこで和平交渉は許せる?or許せない?の国民投票(国民に直接投票をしてもらうこと)が行われ、「和平交渉は許せない」という国民の意見が多い結果となりました。
さて、2018年の8月から就任すり新しい大統領であるイバン・ドゥケさんですが、この方は右派。
つまりコロンビア革命軍には断固反対の人で、国民投票の結果と同じように、「コロンビア革命軍の今までの罪は償っていない」と言う考えなのです。
コロンビア革命軍は弱体化して和平交渉をしたと言っても組織はまだ存在していますし、その幹部も生き残っています。
イバン・ドゥケさんが大統領に正式になった場合は、また武力で完全に鎮圧するかもしれませんし、和平交渉の条件の見直しも検討に入れています。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/06/19(火) | 宗教・戦争のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)