7月1日から中国が自動車関税を25%から15%に引き下げることになりました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
以前からアメリカには安い製品が輸入されて来て、自国の製品が売れないと言うジレンマがありました。
しかしそれほど騒がれる事はなかったのですが、トランプ大統領に変わり、大きく報道されるようになりました。
トランプ大統領は貿易による赤字を減らそうと言う事で積極的な取り組みを進めて行きました。
それが「関税をかける」と言う政策ですね。
関税は輸入製品などに税金をかけて自国の製品を守る為に行う政策ですね。
もし安い輸入品ばかりが店頭に並んだ場合は、自国で作った物が売れなくなってしまうので、輸入した物に税金をわざとかけて、国内の製品と同じくらいの価格にして売るのです。
こうすればどちらも売れますよね。
同じ価格だったら国内産の物を買う人も多いかもしれません。
アメリカは中国から安い鉄鋼やアルミが輸入されていて、国内の鉄鋼やアルミが全然売れませんでした。
その為、アメリカ国内の鉄鋼メーカーは大きなダメージを受けていたのです。従業員も解雇されたり、賃金も安く、衰退していたのです。
そこでトランプ大統領は中国へ鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をかけたのです。
しかし、中国にそのように関税をかけてしまうと今度は中国側にとっては自国の鉄鋼やアルミがアメリカで売れなくなってしまいます。
中国は報復としてナッツ類やワインなどに15%、豚肉などに25%の関税をかけることにしたのです。
その後は両国で追加関税による報復合戦が始まり、両国で様々な関税をかけ合う事となりました。
では、ここで様々な国を例にとって、どのくらい自動車に関して関税がかけられているのか見てみましょう。(大体の関税率ですが)
●日本・・0%
●アメリカ・・2.5%
●タイ・・80%
●インド・・125%
●エジプト・・135%
●ロシア・・25%
まず、注目の日本が0%とはどう言う事でしょうか?
日本では国産の自動車シェアが90%です。
結局、日本ではあんまり海外の車を買わないので、関税をかけなくても自国の自動車産業は守られるわけですね。(ちなみに日本人に好まれている海外の車がドイツ車です。海外の車で言ったらシェアは70%)
インドやエジプトはかなり高額の関税がかけられていますね。
インドやエジプトはもともと自動車税だけなく輸入製品には高い関税がかけられています。はっきり言ってこれはもう輸入自動車を買う気無いです。
これは自国の製品を守るために保護主義的な思想が強いのもありますが、もう一つ大事な事があります。
関税をわざと高くして輸入させないようにする代わりに自国に工場を建設させるようにし向けてるのです。
自国で生産して販売した場合は関税は適用されないですよね?(厳密に言えば細かな税金はかかりますが)
そこで海外の企業から自国に工場などを建設させるように誘致させて、自国の雇用を確保させるようにして経済を発展させてるのです。
発展途上国などは特にこのような政策を取る傾向があります。
さてアメリカと中国の関税の報復合戦ですが、中国側が自動車に関しての関税を引き下げる歩み寄りをしたのです。
こんな感じです。
●乗用車の関税・・25%から15%へ引き下げ
●トラック・・20%から15%へ引き下げ
●自動車部品・・8~25%を一律6%まで引き下げ
これはアメリカだけに対しての処置ではなく、全ての国に対してです。
もちろん日本も含まれますので、今中国国内では日本車が安くなるとアピールをして、販売合戦が起こっています。
何故に急にこんな方向転換を取ったのでしょうか?
実は3月に中国の最高権力者である習近平国家主席がアジアを中心に政財界の人が集まるアジアフォーラムで講演した際にこの様な事を言ったのです、。
「中国国内市場の解放を行う」
市場の解放と言うのは、このような関税を削減したり輸入規制などを緩和したり撤廃して、輸入や輸出を積極的に行っていく事です。
自動車などの関税を下げて輸入を拡大する方針や、特に金融市場についての市場の解放を行なって行くと言いました。
こうなりますと、中国の貿易の黒字が削減されますし、アメリカとの貿易摩擦も緩和されます。
ですから日本やアメリカにとってもビジネスチャンスが生まれたのです。
ただ、自動車の関税を下げたからと言ってアメリカの自動車が積極的に輸入されるかは懐疑的です。
やはり中国でもアメリカの車はあまり人気がないので、どちらかというと日本やドイツに恩恵があるようですね。
また、まだまだ市場関係者の間では、アメリカと中国の貿易摩擦は継続すると思われているようです。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/07/03(火) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)