カスピ海沿岸5ヶ国で領有権や海底資源活用について定めた協定に署名を行いました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
カスピ海ってよく聞いた事があるかと思いますが、まずはどこにあるか確認しましょう。
カスピ海は中央アジアと東ヨーロッパの境目にあります。このカスピ海を中心にロシアやイラン、カザフスタンと言った国が囲んでいます。
カスピ海と言ったらやはり名産はチョウザメから採れるキャビアですね。たった500gで50万円で売られていたりします。
ちなみにカスピ海ヨーグルトはカスピ海とはあまり関係なく、コーカサス地方という場所にある長寿の人が多い村で食べられていたものを日本に持ち帰って広まったものです。
このカスピ海は世界で一番大きい塩湖(371000K㎡)です。大体、日本の面積くらいあります。
塩湖と言うのは淡水ではなく、海と同じく塩水です。カスピ海だけでなく、その周辺には塩湖の湖が結構あります。
カスピ海はこの「湖なのに塩水」と言う特徴によってカスピ海を取り巻く国々で争っていました。
ではみなさんここで問題です。「湖の定義」「海の定義」とは何かわかるでしょうか?
実はコレ、結構難しい問題で定義も曖昧な事になっているのです。(だからこそカスピ海の周辺国で争っている)
海は地球を覆っている海水とつながっているものをいいます。湖は陸地に囲まれたものをいいます。
が、陸地に囲まれていても大規模な塩湖である場合は海と命名されるとなったりしています。
カスピ海はもともとは海とつながっていたのですが、大陸が長い間移動して、ついには孤立してしまった海の名残なのです。
カスピ海を海と呼ぶか?湖と呼ぶか?
意見は非常に別れる所だと思います。
そこで各国は自分達の国によって都合が良いように、それぞれの国で「湖!」と定義したり「海!」と定義する事にしてしまったのです。
●カスピ海を湖と定義した場合
湖と定義をしますと、カスピ海沿岸の国々でカスピ海を均等に分ける事になります。
こうしますとカスピ海の海はこの様に分ける事になります。
●カスピ海を海と定義した場合
海と定義をしますと、国際条約が適用されてしまいます。国際条約では200海里(370.4キロメートル)までを排他的経済水域と定めています。
排他的経済水域と言うのは海中資源、海底資源の開発や探査をしてもいいですよと言う海域です。「他の国が勝手にそのような事をしてはいけないです」という所です。
こうしますとカスピ海は今度はこのように分ける事になります。
湖と定義するとイランにとっては沢山の面積を自分の国のモノとできます。海と定義しますとロシアが沢山の面積を自分の国のモノとできます。
なんでカスピ海を欲しがるのかと言いますと、カスピ海には豊富な天然資源が埋蔵されているからです。
その量は石油は約500億バレル、天然ガスは8兆4000億立方メートル。まあとにかく沢山です。
自分達の国の物になってしまえば、それだけ多くのエネルギー資源を確保できますよね。
ですから、それぞれの国がカスピ海を「湖だ!」「いや海だ!」と言って定義づけをしようとしていたわけです。
そこで話し合いが2002年から始まりました。
もちろん話し合いは平行線で、今回ようやく5回目の話し合いでやっと合意がなされたのです。
話し合った国はロシア、イラン、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタンの五ヶ国で、こんな事を合意しました。
●沿岸から15海里(28キロ)を領海とします。(領海とはその国の領土です。でも領海だから外国の船が通れないと言うわけではなく、安全を害さない範囲なら通航する事ができます。)
●25海里までは排他的漁業権とします。
(他国が勝手にこの領域で漁業をしてはいけませんよという領域)
●海中資源や海底資源の発掘は国同士でそれぞれ決めてそれに従おう。
●カスピ海の沿岸国以外の軍隊はカスピ海に入れないようにしましょう。
これによって20年以上続いた協議が決着したのです。これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/08/13(月) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)