トルコ・リラが暴落して市場関係者に大きな動揺が起こりました。今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
日本時間の2018年8月10日(金)、12時30分ごろにある通貨が一気に下落しました。
トルコの通貨である「トルコリラ」です。
通貨が下落すると言うのは、通貨の価値が下がるという事です。
例えば今日はリンゴが1個100円で買えたとします。
しかし、次の日は1個200円を払わないと買えなくなってしまいました。
100円で買えていたはずのリンゴが200円となってしまったのです。
逆に今日リンゴが1個100円で買えたとします。
しかし、次の日は1個50円で買えました。
一見50円となっているので、お金の価値が下がっているように見えますが、100円出せばリンゴが2個買えちゃうのです。
これはモノの価値が下がり、お金の価値が上がっているわけです。
つまり、通貨の価値が下がると言う事は、モノの価値が上がりお金の価値が下がるので、買い物に行ったらいつもより余計にお金がかかってしまうのです。
これを「インフレ」と言います。
逆を「デフレ」と言います。
ですからトルコは現在インフレ状態で、スーパーに行って買い物をしたらモノが高くてなかなか買えない状態にあります。
なんでトルコリラが急激に下落してしまったのでしょうか?
通貨の価値を上げる為に大体行うのが、出回っている通貨の量を減らす対策です。
お金の量が減ればお金に価値が生まれます。ダイヤモンドが何故高いかと言うと地球上にあまり存在しないからですよね?
お金が市場から無くなれば、お金に希少価値が出るのでお金の価値が上がるわけです。
そこで「金利を上げる」と言う政策を行います。
例えば銀行からお金を借りる際に金利を高くするのです。それだけ余計にお金を払うことになりますから国民の生活は苦しくなります。
ただ、国民みんなが余計にお金を払う事で次第に市場からお金が消えて行きます。そうしますとお金の価値が上がり、モノの価値とお金の価値のバランスがよくなっていくわけです。
トルコでは以前から少しずつトルコリラの通貨が下がり続けていました。
普通は通貨の価値が下がったままでは困りますから、通貨の価値を上げる先程の様な「金利を上げる」対策をしますよね?
しかしエルドアン大統領は金利を上げる事には反対しています。先程あったように金利を上げますと生活が苦しくなり不景気になってしまうからです。
エルドアン大統領を無視して、トルコの中央銀行や政府が通貨下落の対策をすればいいじゃん・・と思うかもしれませんが、できません。
何故ならエルドアン大統領は強力な権力を持っています。いわゆる独裁政権ってやつです。
エルドアン大統領が「NO」と言えば、何もできないわけです。
通貨が下落しているのはアメリカの経済制裁も関係しています。
トルコはアメリカと長い間同盟国でした。
しかし、シリアの過激派組織である「IS(イスラーム国)」をめぐって両国はこじれてしまいました。
ISは中東で暴れまわり勢力を伸ばしましたが、クルド人と衝突します。
クルド人はトルコやイラクと言った国に住む、国が無くてこのような国に居住区を設けて住んでいる民族です。
アメリカはこの時シリアのクルド人を支援しました。
所がクルド人はトルコ政府と仲が悪く迫害を受けています。もちろんエルドアン大統領もクルド人に対しては敵対視。
「アメリカはクルド人を支援した!敵だ!」
こうしてアメリカとトルコは仲が悪くなり、両国で行き来できない様にビザの発給を停止したり、アメリカは経済制裁をトルコに行うまでになったのです。
また2016年にトルコで起きたクーデターも関係を悪化させています。
クーデターは失敗したのですが、その首謀者に「フェトフッラー・ギュレン」というイスラム教の指導者が関わっていました。
当然エルドアン大統領はギュレン師を捕まえようとしましたが、ギュレン師はアメリカに亡命してしまうのです。
エルドアン大統領がアメリカにギュレン師を引き渡す様に要求しましたが、アメリカはこれを拒否。
これによってアメリカとトルコはさらに仲が悪くなったのです。
アメリカと仲が悪くなると言うことは、アメリカの同盟国とも仲が悪くなるという事です。
そうなるとトルコとの貿易を控える国が出てきたりしてしまい、必然的にトルコ経済が悪くなってしまうのです。
●トルコ自身が金融政策を行わない
●アメリカからは経済制
こうしてトルコを見限った投資家が離れてしまった結果、トルコ通貨が急激に下落してしまったのです。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/08/14(火) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)