ドイツとロシアの間で「ノルド・ストリーム2」のガスパイプラインの工事が進み、アメリカ(トランプ大統領)が反対しています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきます。
ノルド・ストリーム2があると言う事は、ノルド・ストリーム1もあるんですが、そもそもこれは何なのか?という事から解説して行きましょう。
ノルド・ストリームはパイプラインです。
パイプに何を通しているのかと言うと、天然ガスですね。
ロシアから産出された天然ガスをドイツまでパイプラインを繋いで、それを運ぶわけです。
最初に作られたノルドストリームは、なんと約1200キロもあり(日本列島は3000キロくらい)、バルト海の海底を通してドイツまで運んでいます。
ドイツまで運ばれた天然ガスは、そこからさらに各国にガスが行き渡ります。
2005年に作ってみっか!と始まりまして、2011年11月8日から既に稼働していますが、総工費は1兆4500億円にものぼりました。
そして今回はノルド・ストリーム2という訳です。
ノルド・ストリーム2も1と同じようなルートで海底にパイプラインを通すのですが、技術の進歩もあり最初に作られたものよりは安く済むと言われています。
それでも1兆590億円ほどの試算と言われています。
ではここでちょっと問題です。
ロシアとドイツは陸続きなのですが、陸路でパイプラインを繋げは安くあがるのに、なんでわざわざ海底にパイプラインを沈めて天然ガスを輸出しているのでしょうか?
答え:陸路のガスパイプラインはリスクがあるから
はい、実は陸路では既にロシアから引いてるガスパイプラインが1970年代から次々に作られて、それこそユーラシア大陸全土に広がっています。
じゃあそれを使えばいいじゃんと思うかもしれませんが、新しく海底にパイプラインを沈めたのはこんな理由がありました。
欧州へ天然ガスを送るパイプラインは当然ながら「どこかの国」を経由して送らなくてはなりません。
その「どこかの国」の中の一つがウクライナでした。
パイプラインがウクライナ領を通って、もちろん経由するウクライナへもロシアの天然ガスが送られていました。
しかしロシアの天然ガスの価格に合意できないウクライナ。そこで天然ガスの料金を未払いしたり、勝手にパイプラインから天然ガスを盗んじゃったんですね。
で、ロシアはウクライナへ供給をやめる為に要はガスの元栓を閉めてしまったのです。元栓を閉めたら欧州への天然ガスも当然ストップしちゃいます。
ロシアは欧州へ天然ガスを供給しなくてはならないのでウクライナと交渉しながら天然ガスの供給を継続したりストップしたりしていました。
(ちなみにロシアはガスの供給をストップした事で世界からバッシングを受けます。)
でも交渉はうまくはいかず。欧州もロシアの天然ガスに頼っていますから、たびたび天然ガスが供給されなくなったりと非常に困ってしまったわけです。
そんな状況下でノルド・ストリームが出来たわけですね。
陸路だとロシアにとっても欧州にとってもリスキーなので、バルト海の海底にパイプラインを沈めて天然ガスを供給したわけです。
じゃあ何でノルドストリームに対してアメリカ(トランプ大統領)は怒っているのでしょうか?
アメリカはこのように主張しています。
「欧州のロシアのエネルギー依存度が強まる」
ノルドストリーム2ができますと、益々ヨーロッパはロシアの天然ガスに依存しなくてはなりません。
一つの国に資源の依存をするというのは実はあまり良い事ではないんです。
アメリカとロシアは仲が悪いですが、例えばそれで戦争になった場合、ロシアが欧州の天然ガスの供給を止める!と欧州を脅したらどうなるでしょう?
欧州にとっては天然ガスの供給が止まったら困ってしまいますから、もしかしたらロシア側に味方する可能性もありますよね?
日本もかつて同じことが起こりました。第二次世界大戦で日本がアジアに勢力を伸ばして行ったのは石油を確保する為でした。
経済制裁で日本への石油の輸出が禁止されたので、日本はアジアに進出して石油資源を奪うことになったわけです。
こうして戦争は拡大してしまいました。
資源に依存してしまうと争いの元となってしまうのです。
また、現在のウクライナの大統領であるポロシェンコさんは反ロシアで、親米派です。
となると、アメリカは当然ウクライナの味方をしています。
さらに言うなら、アメリカから石油(シェールオイル)を買いなさい。と欧州に言ってるわけですね。
けれどアメリカの石油はロシアの天然ガスよりは割高ですから、あまり購入するメリットはありません。
そんなわけでアメリカはノルド・ストリームに対して反対して、トランプ大統領は怒っているわけです。
これが今回のニュースですね。
▼大佐のブログが本になりました。

自己紹介
ブログ管理人:大佐

趣味は家の掃除からバイクまで幅広く。 当ブログの更新や若い方中心にニュースをわかりやすく解説しています。 広告主募集中!▶︎こちらからご連絡をお願い致します。
2018/09/14(金) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(2)