厚生年金の適用範囲を拡大する議論が社会保障審議会の部会で始まりました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説したいと思います。
まず、厚生年金について解説して行きましょう。
厚生年金は正しくは「厚生年金保険」と呼びます。
「保険」ですから、何かあった際にお金が支払われる様、掛け金を払うわけですね。
何かあった時というのは、私達が年を取って仕事を辞めた際に収入がなくなって困らない様に、掛け金を払って毎月一定額のお金を貰えるようにするわけです。
厚生年金は民間の企業に勤めている会社員(公務員も)はほぼ必ず加入しています。
加入した覚えはないぞ!という方もいるかもしれませんが、企業は強制的に加入しなくてはならないので、もれなく加入しています。
給料明細に「厚生年金保険料」と言う欄があり、そこで勝手に引かれていますので見直して見て下さい。
じゃあ厚生年金は一体いくら払うの?と思うかもしれません。しかし、厚生年金の毎月の掛け金は人によって変わりますので、この金額だ!と言えません。
「標準報酬月額」と言って、毎年4月、5月、6月の給料の平均値から、厚生年金の掛け金が決まるのです。(つまりこの期間の給与額によって支払う金額が変わるわけです。)
ちなみに『標準報酬月額×18.3%÷2』で計算します。
「÷2」としたのは企業が厚生年金の保険料を半分払っているからです。
じゃあいつになったら貰えるの?ですが、厚生年金は65歳になったら原則貰えます。(これを老齢年金と呼びます)
が、もし何らかの事故などにより障害者になったり、加入者が亡くなった場合は別です。
障害者となった場合は、障害厚生年金と呼ばれるもので受け取れますし、加入者が亡くなった場合は配偶者が遺族厚生年金と呼ばれるもので受け取れます。
ただ最低10年間は厚生年金を払わないと支給されないと言うのは大事な項目の一つですので覚えておきましょう。
さて、ニュースの内容に行きましょう。
この厚生年金に加入する対象者の範囲を広げようという話合いが行われるわけです。
実はこの厚生年金の対象者範囲の拡大は既に行われています。
2016年10月にはこのような条件に当てはまる方は厚生年金に加入するように決まりました。
●労働時間が週に20時間以上ある人
●年収が106万円以上(月に8万8千円くらい)
●勤務先の従業員が501人以上いる人
●1年以上勤務見込みの人
●ちなみに学生は適用外
そもそも何で厚生年金の適用範囲を拡大しようとしたのか?ですが、単純に年金が足りないから対象者を拡大したという訳ではありません。(そういう部分もありますが)
これは女性の働き方と将来に対して制度を変えて行くと言う試みが大きな目的なのです。
男性の場合は普通に会社員となって働いている方が大多数だと思います。しかし女性の場合はパートやアルバイトとして働いてる方が多いですよね?
しかしパートやアルバイトでは基本的に厚生年金に加入する事ができません。
となりますと、将来は国民年金だけに頼るしかありません。(会社員は国民年金と厚生年金の両方を受け取れます。)
そうなってしまうと将来不安ですよね?おまけに国民年金の受給額も減っています。
そこで女性の働き方改革として厚生年金を将来受け取れられるように、制度を変えたわけです。
しかし、厚生年金とは会社が半分負担し、従業員が半分負担する様に決まっています。
会社にとっては厚生年金を払うと大きな負担になるわけです。
で、とりあえずとして2016年の10月に暫定的に先程記載した事が決まり、今後も厚生年金の適用範囲を広げようと社会保障審議会で話し合われているわけです。
社会保障審議会と言うのは厚生労働省(私達の生活を豊かにする為にサポートする所)に設置してある所で、社会保障問題や人口問題について調査したり話し合ったりする所です。
今後は従業員が500人以下の企業にも厚生年金の加入を義務付けるように拡大して行く話し合いが行われていますが、やはり企業の負担も大きいと言う意見もあります。
厚生労働省では来年の9月までに意見をまとめて、2020年に法改正を目指しています。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/09/19(水) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)