中国が預金準備率を1%引き下げると発表しました。今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
日本では中央銀行の事を日本銀行(日銀)と呼んでいますね。中国の中央銀行というのが、「中国人民銀行」です。
中央銀行の役割は大まかにこんな役割をします。
●景気が悪くなったら、景気が良くなる金融政策をする。
●景気が良すぎる場合は、景気の加熱を下げる金融政策をする。
●物価を安定させる。
●経済を持続的に成長させる。
金融政策というのはいろいろありますが、例えば景気が悪い時に金利を下げて、銀行から低金利でお金を借りれるようにしたりするのです。
現在の中国は微妙な所です。
不景気ではないんですが、経済成長率が伸び悩んでいます。
例えば今までは大体2桁台の経済成長率でした。
2006年→12.7%
2007年→14.2%
ですが、2018年では6.5%ほど。
2010年以降からは2桁に行く年は一回もありません。
特に今年はアメリカとの貿易摩擦がニュースとなっていますね。
アメリカが「中国は安い製品をアメリカに輸入し過ぎだ!自分の国の製品が全然売れん!」と言うことで中国の輸入製品に関税をかけました。
関税は自分の国の製品を守る為に、安い輸入製品に対してワザと税金をかけて、自国の製品と同じくらいの値段にしちゃう事です。
安い輸入製品でも売る際に自国の製品と同じくらいの値段にすれば輸入製品ばかりが売れる事がなく、自国の製品も売れると言うわけです。
アメリカは最初、中国の製品に対して関税をかけましたが、報復措置として今度は中国がアメリカ製品に関税をかけて、貿易摩擦が広がっています。
この為、中国は国内の景気が悪くなると考えて、中央銀行で預金準備率を1%引き下げると発表したのです。
預金準備率とは一体何か?ですが、こんな事です。
預金準備率は支払準備率と呼んだりもしています。
民間の銀行は私達からお金を預かったりしていますが、預かったお金を他の人に貸したり、株などの金融商品を買って運用してお金を増やしています。
しかし、もしもですよ?
民間の銀行が全てのお金を金融商品や人に貸してしまい、そんな時に私達が銀行に行ってお金を引き出そうとしたらどうなるでしょう?
預かった預金を他の人にお金を貸したり、金融商品に回してますから、銀行から引き出す分のお金が足りなくなってしまいます。
預金を引き出したいのに、銀行にお金がないから引き出せない方が出て来てしまいます。
また民間の銀行がハイリスクな金融商品を買いまくって失敗し、お金が無くなっちゃったら同じように、預金を引き出したい人が引き出せなくなっちゃいます。
そこで預金者から預かったお金は、「一定額までしか貸したり、金融商品を買って運用してはいけませんよ」と言うルールにしているのです。
預金者から預かった一定額のお金は民間の銀行が中央銀行に預けて置いて、いざとなった時の為に準備しているって訳ですね。
これが預金準備率です。
ただし、これは安全面のメリットがあるのですが、その分、デメリットもあるのです。
ある銀行があったとしましょう。その銀行にはお客さんから預かったお金、貸しているお金や運用しているお金全てを合わせて100万円あるとします。
で、お金を貸せるのは20万円までだとします。
そこにお金を25万円貸して欲しいと言う人が現れました。
お金を貸せるのは20万円までとルールが決まっていますから、貸し出せません。
こうなってしまいますとお金を貸して欲しいと言う企業は諦めなくてはなりません。
もし借りられたら、新しい商品を開発して儲かり、銀行にお金を返せたかもしれません。
これがデメリットな部分です。
貸せるだけの割合がルールで決まってるので、それ以上は貸せないのです。
そこで中央銀行も民間の銀行にお金を貸し出せる割合を増やせば、民間の銀行が中央銀行から借りられるお金の量が増えます。
つまり貸し出せるルールを緩くするのです。
すると今度は民間の銀行が企業や個人にお金を貸せる量が増えます。
お金が借りられる企業や個人が増えれば、借りたお金で例えば新商品を開発したり、マンションを買ったりして、世の中にお金が回るようになります。
お金が回るようになれば景気が良くなりますね。
預金準備率の引き上げをすると、銀行は貸し出す量が減る、反対に預金準備率を引き下げると、貸し出す量が増えるわけです。
中国はこれからアメリカとの貿易摩擦を懸念して、景気が悪くなると判断したので、預金準備率を1%引き下げて、貸し出す量を増やしたのです。
たかが1%ですが、日本円にしますと12兆円余りと言われています。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/10/09(火) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)