アメリカのトランプ大統領がロシアとのINF(中距離核戦略全廃条約)を破棄する考えを表明しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
INFと言うのはIntermediate-Range Nuclear Forces Treatyの略称です。
日本語では「中距離核戦略全廃条約」と言っています。
ミサイルには様々な種類がありますが、ミサイルの射程距離で大体4つにわかれてこのように呼ばれています。
●大陸間弾道ミサイル
5500キロ以上
●中距離弾道ミサイル
2400〜5500キロ
●準距離弾道ミサイル
800〜2400キロ
●短距離弾道ミサイル
150〜800キロ
※射程距離の数字は報道によって多少バラツキがあります。きっちりこのように分かれているわけではないです。
大陸間弾道ミサイルは北朝鮮のミサイル問題で話題になりました。大陸間弾道ミサイルを「ICBM」と言う言葉で報道していたのを覚えてますかね?
北朝鮮が核開発に成功し、かつICBMの開発も成功したので脅威となり、世界中で北朝鮮の核問題について話し合われました。
どのミサイルが一番怖いか?と言われますと、一概にコレ!とは言えません。と言うのはミサイルとはミサイルに搭載するモノによって脅威が変わるからです。
確かに射程距離の長い大陸間弾道ミサイルは遠い国まで届きますが、これがただの爆弾を積んだミサイルでしたら被害は少なく済むかもしれません。
逆に距離の短い短距離弾道ミサイルに核兵器を積んで爆発させた場合は、こちらの方が被害は甚大です。
ミサイルとはミサイルに搭載するモノによって被害の大きさが変わるわけですね。
さてINF(中距離核戦略全廃条約)とは500キロから5500キロ程の射程距離を持つミサイルについて、アメリカとロシアの間で削減・破棄しましょうと言う約束です。(開発もダメ)
1987年にアメリカのレーガン大統領とロシア(この時はまだソビエト連邦でした。)のゴルバチョフ大統領が調印(重要な取り決めを交わすこと)しました。
なんで両国がこのような調印をしたかと言いますと、アメリカとロシアの間で起こっていた冷戦ですね。
ロシアの社会主義思想とアメリカの資本主義思想がぶつかり、二国間だけでなく、様々な国が巻き込まれて第三次世界大戦も起こりそうな緊張が続きました。
そして両国でミサイル開発が行われ続けていましたが、ゴルバチョフ大統領から積極的にINFに歩み寄り、両国で合意されたのです。
これにより、ロシアとアメリカの緊張が緩和されたのです。
では何故いまINFを破棄するとアメリカが言っているのでしょうか?
きっかけはロシアが2014年に条約に違反して地上発射型巡航ミサイルを開発していると言う事でアメリカが批判した事に始まります。
ロシアは否定していますが、もし条約に違反していたらロシアが悪い!と、思うかもしれません。
が、事はそう単純な事ではないのです。
INFについてロシアは2005年頃から疑問を持ち始めました。
というのは中国やインドと言った国が軍事力を強化し始め、さらに他の国でもミサイル開発や核開発を行い始めたからです。
結局、北朝鮮はICBMの他に核兵器も保持してしまいましたよね?
アメリカとロシアでINFに調印してバカみたいに守ってて、そんな事してるウチに他の国が軍事力を強化して、非常に脅威となってんじゃん。
これじゃあ他国のミサイルや核兵器がロシアにとっても脅威やん・・。こんなん守ってられんわ・・。
そしてロシアは「他国が中距離弾道ミサイルを作るならロシアはINFから脱退する」と、示唆し、アメリカはロシアが密かにミサイル開発をしてる!と批判したのです。
ロシアが本当にミサイル開発をしてるかはわかりませんが、でもコレはアメリカにとっても同じように脅威な事です。
現に北朝鮮が核を保持した事でアメリカと北朝鮮で一時期、緊張状態が続きました。
だからアメリカにとってもINFはちょっと邪魔な存在。
そこで「ロシアが約束破ったから、じゃあアメリカもINFは破棄する!」・・といい具合な理由ができて、ロシアを悪者扱いして言えたのかもしれませんね。
まあとにかくアメリカはロシアがINFを破ったからアメリカはINFを破棄すると言うのが理由とされています。
これによって、両国のミサイル開発が懸念されています。
これが今回のニュースですね。
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2018/10/22(月) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)