外務省が瀬取りを行なったとされる、北朝鮮とパナマ船籍の3隻のタンカーを入港禁止の対象としました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきたいと思います。
世界中で沢山の船が行き来していますが、まず船にも国籍と同じように「船籍」と言うものがあります。
正しくは「船舶国籍証書」といいまして、どこの国の船なのかを証明するものです。人間で言うパスポートみたいな物ですね。
全ての船ではなくて、20トン以上ある船は必ず船籍を取得しなくてはなりません。(船舶法第5条)これがないと航行してはいけないのです。
例えば石油タンカーが座礁して重油が漏れて海が汚染されてしまうような事故に見舞われた場合に、どこの国籍かわからなくては困ってしまいますよね。
だから運輸局へ申請をして船籍を取得する必要があるのです。
ところで、このニュースに「パナマ船籍」と言う単語がありますね。
船籍は先程話した通りですが、パナマ船籍って実は結構有名だったりします。
船で自分の国と外国との間で物や人を運ぶ事を「外航海運」と言うのですが、世界でこのような船の実に5分の1は全てパナマ船籍です。
日本の船も全てが自国に国籍を置いてるのではなく、なんと60%がパナマに国籍を置いています。
実態は違う国だけど異なる国に船籍を置く事を「便宜置籍船(べんぎちせきせん)」と言ってるのですが、このようにパナマに船籍を置いている船はかなり多いのです。
なんでこんな事をしているか?と申しますと様々なメリットがあるからです。
●税金が安い
パナマ船籍にして登録すると税金面で安く済むのです。
●いろいろな船員を乗せられる
ほとんどの国では自国の船籍を取得しますと、自国の船員しか乗れません。(日本籍なら日本人だけ)
しかし、パナマでは規制が緩いのでいろんな国の人が乗れます。
日本人だけだとやはり賃金が高くついてしまいますから、安い賃金で働ける船員を乗せて、運航コストを安く抑えるわけです。
なんかグレーゾーンに思われるかも知れませんが、こうした事をしなくては、日本の外航海運は国際競争に敗れてしまいます。
だからよく海難事故で「パナマ船籍の船」とニュースで報道されたりしますが、実態は違う国と疑ってかかる事ですね。
ではニュースに戻りましょう。
今回、外務省で北朝鮮船籍の1隻とパナマ船籍の2隻のタンカーを日本への入港禁止としました。
理由は「瀬取り」と呼ばれる行為をしたからです。
瀬取りと言うのは海の上で船から船へと荷物を積み替えることです。
瀬取り自体は禁止されているわけではないのですが、国連で制裁を行なっているような国に対しては瀬取りを禁止しているのです。
海の上は広いですから大型のタンカーでも小さく見えます。タンカーとタンカーが何かをしててもよくわかりません。
もしそこでミサイルや武器、麻薬などを積み替えていたらどうでしょう?非常に問題ですよね。
制裁をしているような国はやはり北朝鮮など危険な国が多いですから、瀬取りをしてはいけないようにしているわけです。
今回の3隻は石油製品を積み替えていたとされています。
北朝鮮への石油製品の輸入は国連で禁止しているので今回、外務省ではこの3隻に対して入港禁止としたわけです。
これが今回のニュースですね。
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2018/10/30(火) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)