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なぜ水道の民営化をするのか、理由をわかりやすく解説して下さい



水道事業に民間の企業の参入を可能出来る様に、水道法改正案が成立する見込みです。

今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。


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郵便局や国鉄は、以前は国が管理・経営をしていました。しかし、郵政民営化によって郵便局は民間企業となり、国鉄も廃止されて民間企業に託されました。

そして、なんと水道事業も民間企業に託そうと言うわけですね。(水道の料金徴収では一部、民間企業が既に参入はしてます。)

まず、何で民間企業に移行する事になったのでしょうか?それには今の水道事情を知る必要があります。

●根本的な原因が水道管の老朽化と水道事業の維持が困難

日本では今、様々な所で水道管の老朽化でトラブルが発生しています。

水道管の耐用年数は40年程。1970年頃の高度経済成長期に一気に水道管が引かれ、78年に全国で9割に達しました。

その頃から40年以上が過ぎて加速度的に老朽化が進んでいるのです。2013年には水道管の1割が耐用年数を超えました。

そして古い水道管のせいで、破裂したり水漏れが全国で発生しているのです。

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●じゃあ古い水道管を直そうじゃないか

と、当然なりますよね。
しかしながらこれが簡単に出来れば水道事業の民営化なんて話にはならないのです。

まず、地方ではどんどん人が減っています。
人がいないので、水道料金の収入がありません。
収入がないので、古い水道管を修理する事ができないのです。

●じゃあ水道代を値上げしよう

と、なるわけですけど、これはもう既に行なっています。下のグラフを見てみましょう。

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見事に値上げしていますね。
それも毎年です。しかし値上げした所でそれを水道管の修理費に当てましたら、全然足りないわけです。

おまけに水道管を修理する人材もおらず、綺麗な水を維持する水道事業は困難。さらに水道管の耐震化を進めたいけど、そんな事より古い水道管をなんとかしないと・・という状況なわけです。

つまり、「お金がない。修理をした所で人口が減っていて収入が増えるわけではないから苦しいだけ」と言う悪循環な状態なわけです。

そこで「民営化」なわけです。
民営化は、国や地方公共団体が経営していたものを民間企業に行わせる事です。

民営化をする一番のメリットは市場競争が働くという事ですね。企業同士が競争しますと、良いサービスを与えようとするのでサービスが向上します。

また安くサービスを提供しようと競争するので値段が下がる傾向になります。

つまり水道のサービスが向上して、水道料金が下がる可能性があるわけですね。

しかし、公共サービスを民間の企業に委ねると言うのはかなりリスキーな話ではあるのです。

実は海外で水道事業を民営化した所、逆に問題が大きくなってしまった所があります。

例えばアメリカのアトランタ。水道事業を民間の企業に任せた所、維持費がかさんでしまい結局は水質が低下してしまいました。

そして結局は公営化(国が管理・維持・経営すること)に戻ってしまったのです。

アフリカでは民営化後に水道料金が高騰してしまいました。そして料金が払えない人達は水道が止められてしまい、川の水を使用する人達が増えてしまいました。

そして汚染された川の水を使用した事により、コレラが蔓延してしまったのです。

日本も一旦民営化してた所で、民間企業が上手く利益を上げられるかはわかりません。
再び、公営化されてしまう可能性もあるわけです。

そこで「コンセッション方式」の導入が検討されています。

コンセッション方式とは、「所有権は国(地方公共団体)ですが、経営は民間企業にまかせる」仕組みです。

なんだかよくわからないと思いますので、イメージとしてなんとなくご説明します。

例えばなんですが、映画館に行きますとポップコーンなど飲食物が売っていますね。

映画館施設を運営しているのはAと言う会社なんですが、飲食物の販売は別のBという会社が行なっています。(全部の映画館がそうではないですがね。)

飲食物を販売するB会社は、映画館施設を運営してるA会社よりポップコーンの値段はこれくらいまで!など、ある程度のルールが決められ、そのルール内なら自由に販売しても良い事になっています。

こういうのをコンセッションと呼びます。
(もう少し詳しく言うと長くなるんで省きます。空港なんかはまさにコンセッション方式を使用してます。)

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このイメージを当てはめると映画館が地方自治体で、映画館にある飲食店が民間企業という形です。

つまり水道の所有権は現状と変わらず地方自治体にあるので、ルールは地方自治体の権限になります。

そしてそのルールの範囲内で実際の水道事業(浄水場の維持とか、料金徴収など)を行う事に関しては民間企業に委ねちゃうわけです。

ですから厳密に言うと、全てが民営化されるわけではないので、ニュースでは「水道の民営化」とは報道されないです。

民間企業が水道事業に参入するのは正しい事かはわかりませんが、いま水道法改正案の検討が進められています。

これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐
大佐
趣味は家の掃除からバイクまで幅広く。 当ブログの更新や若い方中心にニュースをわかりやすく解説しています。 広告主募集中!▶︎こちらからご連絡をお願い致します。

2018/11/20(火) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)

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