スウェーデンで中東のイエメンで起こっていり内戦について和平協議が行われる事になりました。
今回はイエメンで起こっている内戦について、わかりやすく解説して行きたいと思います。
まずはイエメンがどこにあるかを確認しましょう。
イエメン共和国はサウジアラビアに隣接していて、アラビア海に面している国です。
公用語はアラビア語で首都はサナアと言います。
人口は2747万人。(2016年)
主にアラブ人が住んでいて宗教はイスラム教ですね。
昔は農業、漁業で生活している人がほとんどでしたが、1980年代に天然ガスと石油が発見されますと、これらを輸出して外貨を稼ぐようになりました。
(ただ、産出量はあまり多くないです)
中東ではかなり穏やかな気候に恵まれた国ですが、現在65%以上の国民が飢餓にひんしていて、栄養失調で亡くなる子共も大勢います。
一体この国で何が起きているのでしょうか?
冒頭にもあったようにイエメンは今、内戦状態です。
内戦に至ったきっかけは2011年から2013年にかけて起きた「アラブの春」という民主化運動(民主主義にしようと言う運動)です。
チュニジアという独裁政権下の国で革命が起こり、それを機に中東にある様々な国に民主化運動が広がって、独裁政権が崩壊する状態が続きました。
当時は独裁政権が崩壊した事でアラブの春と呼ばれ盛り上がりましたが、結局は革命によって全ての国が良い方向にはなりませんでした。
イエメンも同じようにアラブの春の波及で、国内でデモなどの反対運動が行われました。
当時のイエメンは「サーレハ大統領」が30年以上も独裁政治を行なっていて、国民も貧しい生活を送っていた為、不満が爆発したのです。
これによってサーレハ大統領は退任します。
そして副大統領だったハーディさんが最終的に大統領となりました。
これを「イエメン騒動」といいます。
しかしこれによって紛争の火種が上がります。
中東と言ったら「宗教の違いによる紛争」が大体の理由を占めています。
中東の宗教と言ったらイスラム教を思い浮かべる方がいらっしゃると思いますが、イスラム教でも◯◯派とか言って、いろいろと枝分かれしています。
日本の仏教でも宗派がありますが同じ事ですね。
ただ、日本人の場合は宗派を意識する時って葬式ぐらいなもんです。
しかしイスラム教の宗派は非常〜〜にやっかいで、これが紛争のきっかけになってしまうのです。
イエメン国内には「フーシ派」と呼ばれる方が住んでいます。大きなくくりではイスラム教なんですが、「イスラム教の中のシーア派の、その中の一派」がフーシ派です。
フーシ派の方はハーディ大統領に変わった事が不服でした。
そこで、サーレハ元大統領と同盟を結んでクーデターを2015年に起こしました。
これによってハーディ大統領は軟禁されて、フーシ派がイエメンを掌握してしまいます。
(ハーディ大統領の政府要人も辞めさせられちゃいました。)
しかしハーディ元大統領は2ヶ月後に軟禁状態から脱出。「ワイ、大統領やる!クーデターとか認めんぞ!」と復活します。
こうして、フーシ派とハーディ元大統領の政府側とでバトルが繰り広げられる事となったのです。
ですが、大統領を復活すると言っても簡単ではありません。ハーディ元大統領はフーシ派に追われる身となってしまいます。
そこでお隣の国、サウジアラビアに助けを求め、イエメンにいるフーシ派に対して空爆をおこなったのです。
サウジアラビアでは「スンニ派」と呼ばれる宗派があり、こちらがハーディ元大統領を支援したのですね。
一方、フーシ派ですが先程「イスラム教の中のシーア派の、その中の一派」と言いましたね。
シーア派と言うのはイランが多く占めている宗派です。
そう、フーシ派をシーア派であるイランが今度は支援したんです。
ちょっとまとめましょう。
●ハーディ元大統領・・サウジアラビア(スンニ派)が支援
●フーシ派(サーレハ大統領)・・イラン(シーア派)が支援
サウジアラビアとイランは非常に仲が悪く、特にスンニ派とシーア派と言う宗派は相容れない存在です。(お互いにその宗派の教えは間違っている!と言っています。)
で、こう言う状況になり単にイエメン国内での紛争ではなく、サウジアラビアとイランの代理戦争と言う形にもなっているのです。
そしてこの対立に加えテロ組織「アルカイダ」までもが勢力を広げるために紛争に介入してます。
さてイエメン国内では食料の9割を輸入に頼っています。この為、紛争によって全然食料が手に入らないでいます。
もう一度イエメンの地理を見てみましょう。
イエメンは周りが海に囲まれています。
海から船で食料を運んで支援すればいいじゃん!と思うかもしれませんが、港は封鎖されています。
民間人も他国に逃げることもできないのです。
イエメンでこのような状況になっていても、あまり知らない方が多いです。紛争地帯にわざわざ行って報道する記者や国内にもあまりいないからです。
このような惨状に、国連が仲介して和平協議がスウェーデンで行われるわけです。
これが今回のニュースですね。
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2018/12/06(木) | 宗教・戦争のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)