WTOがブラジルに対して「自国で生産してる工業製品の税金優遇措置」に、是正勧告する事になりました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
まずWTOってなんだっけ?
と言う解説から進めて行きましょう。
WTOはWorld Trade Organizationの略称ですね。
世界貿易機関と言います。
1995年に設立された国際機関です。
このWTOの前に存在していたのはGATT(「General Agreement on Tariffs and Trad)と呼ばれるもので、1948年に発足されました。
第二次世界対戦後、少し経ってからですね。
GATTが出来た目的は世界中の国で自由に貿易できるようにさせ、貿易に関わる制限を削減をする事でした。
世界の経済ではこのような共通認識があります。
「自由に貿易できる事こそが一番良い」
これこそが、各国の経済を活性化させる一番の方法だからです。
所が第二次世界対戦前は「保護貿易」と言って各国で貿易の輸入制限を厳しくしていたり、関税を高くして貿易の制限が非常に高かったのです。
関税と言うのは今、中国とアメリカの貿易摩擦で良く出てくる言葉ですね。
関税は自国の生産物を守る為にあります。
海外から安い輸入品が入ってくると自国のモノが売れなくなってしまうので、輸入したモノにワザと税金をかけて同じくらいの値段にして国内で売るのです。
こうすれば自国のモノも売れるようになりますから、この様に関税をかけて守っているのです。
保護貿易は言い換えますと、自国主体(自分勝手)な貿易体制なので争いが起きてしまうのです。第二次世界対戦も保護貿易が一因で起きています。
その後、保護貿易を辞めてGATTが設立されたわけですが、GATTはただの「協定」と言う位置付けでだったので問題がありました。
貿易による紛争が起きても解決させる力はGATTには無かったのです。
そこでWTOという国際的な機関に変更し、WTOで決められた事項は守りなさい!と強制力を高めてパワーアップさせたわけですね。
WTOの目的はGATTとはほとんど変わりませんが、自由で公平に貿易してるか評価して、保護貿易の改善を図ったり、改善しない国を処罰したりするのがWTOですね。
さて、ブラジルは何でWTOから怒られる事になったのでしょうか?
ブラジルは広大な土地を生かして昔は農業や畜産業を行なって来ました。
しかし、製造業が追い越して今ではブラジルの産業の10%以上を支えています。(農業・畜産業は4.3%くらい)
製造業では自動車の部品や半導体などの部品を製造しています。製造業自体は何の問題もないのですが、問題はブラジル国内の税金体制でした。
ブラジル政府が2012年9月に自国内で組み立てなどを行う自動車メーカーに対して、30%も税率を下げる政策をしたのです。
またその年の10月には条件付きで自動車製造に使用されたローカルコンテントの比率に応じて、減税を認める政策を実施しました。
ローカルコンテントと言うのは、ある国に進出して来た海外の会社が、その国で何かを生産する際に、原材料や部品などを現地で調達する、「調達比率」の事を言います。
ブラジルのような新興国と言うのは進出して来た海外の企業に際し「進出して来てもいいけど一定以上の割合は現地の原材料や部品を使うようにして下さい」と、義務づけています。
新興国は法人税などの税金が安いので沢山の海外の会社が進出してくるわけですが、このように条件を付けて、自分国の原材料や部品を使ってもらい、お金を落とす様にしてるわけですね。
条件さえ満たせば材料や部品を現地調達した海外の企業にはさらに税金を下げますよ。としたのです。
この様にブラジル国内で極端に税率を下げてしまうと、他の国の自動車メーカーは困ってしまいます。
ブラジル国外で自動車を生産するメーカーは価格で勝てませんし、価格の高い自動車をブラジルへ輸出しても売れません。
この為WTOに日本などが提訴して、13日にブラジルへ制度を撤廃するように是正勧告する最終判断を下したのです。
これが今回のニュースですね。
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2018/12/16(日) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)