日立製作所がイギリスで計画中の原子力発電所新施を凍結する事がわかりました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきたいと思います。
現在、安倍政権では「原子力発電所を海外に輸出して、これを経済の成長戦略にしよう!」という政策があります。
何故に原発を輸出する政策をとったのでしょうか?
これは2011年3月11日に発生した東日本大震災が大いに関係して来ます。
ご存知の通り、東京電力で原子力発電所が津波で流されて放射能汚染による多大な被害が発生しました。
東日本大震災の前は原子力発電所が随所に建設されていたのですが、これ以降は全ての原子力発電所で安全性の見直しが行われ、原子力発電の新設なんてとんでもない!!と言う風潮になりました。
そして国内で原子力発電所が作れなくなってしまったわけです。
こうなりますと人材や技術力の行き場がなくなってしまいますよね?
そこで海外に原発を輸出する政策をとったわけです。
もちろんあれだけの事故があったので、日本国内では原発を輸出する事に反対する人は多くいます。
・・が、新興国ではエネルギー確保の為に原発を必要としており、原子力発電所を建設する技術力を欲しているわけです。
原発の輸出は日本だけでなく、アメリカや中国でも行なっており、激しいセールス合戦が行われています。
日本の目玉商品なので、首相自ら新興国に売り込みに行き、握手を交わしている写真がよく新聞に掲載されたりしますね。
そして、激しいセールス合戦の末に日本はこのような国に原発を新設する計画案が浮上しました。
●トルコ
●リトアニア
●ベトナム
●台湾
●アメリカ(新興国ではないですが、アメリカへも原発新設が行われました。)
・・など
しかしながら、これらは今のところ全て「頓挫」してしまいました。
なんでこんなにも頓挫してしまったのでしょうか?
一番の理由は費用です。
原子力発電所と言うのは、新設には多額の費用がかかります。しかし見積もりを出しても結局は見積もり以上の多額の費用がかかってしまいます。
何故なら東日本大震災後は特に安全性を考慮している為に、工事が難航し建設費が莫大になってしまうからです。
日本政府が見積もっている原発1基あたりのコストは4400億円としています。
トルコでは4基を新設するつもりだったのですが、なんと想定の2倍以上の5兆円にのぼる見込みとなってしまいました。
もしこのまま進めていたら石炭や水力発電よりも電気代が高くなってしまいますので、費用対効果の面でも全くお話にならなくなってしまうわけです。
電気料金を値上げするにも、国民の反対に合うのは目に見えているのでトルコ政府もこのまま進めて行くわけにはいかず、頓挫・・と言うわけです。
今回のイギリスも同じです。
日立製作所がメインとなってイギリスのアングルシー島に原子力発電所2基を新設しようとしました。
(2020年に運転開始予定でした。)
この時の当初見積もりは2兆円。
しかしながら費用は3兆円に膨らんでしまいました。この膨らんだ1兆円をどう確保するか?という事ですが、出資企業を募りました。
ところが出資してくれる企業はなかなかありませんでした。何故なら今後も原子力発電所の新設は費用が膨らむ可能性があり、結局頓挫するんじゃないか?という憶測が出ていたからです。
また日立製作所も仮に原発事故が起きて巨額の損害賠償などが出た場合、単独では補うことも出来なくなってしまいます。
こうしてイギリスの原子力発電所の新設は凍結という事になってしまったのです。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/12/19(水) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)