日本政府が12月20日に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退する方針に決めました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
国際捕鯨委員会(IWC)とは何なのか?
まずはここから話して行きましょう。
国際捕鯨委員会はInternational Whaling Commissionと英語でいいます。
日本の水産庁ではこの様に定義しています。
「鯨類資源の保存及び持続的な利用を目的とする国際機関」としています。
保存及び持続的な利用と言うのがミソです。
つまり捕鯨を禁止するものではなくて、鯨を取りすぎたりしないように鯨資源の秩序を守って利用しましょうと言うのがIWCの目的です。
と言うのは、IWCが設立したのが1948年なのですが、IWCが設立する前の捕鯨状況と言うのはかなり酷いものでした。
鯨の乱獲です。
捕鯨は9世紀頃から行なわれていましたが、11世紀頃になりますと本格化して大西洋のクジラはほぼ取り尽くされてしまいました。
そこで太平洋にポイントが移されます。
ハワイは捕鯨をする為の重要な基地だったのは有名です。
何の為に鯨を取っていたのかと言いますと、「鯨油」です。これが非常に高く売れました。(特にロンドンでは高く売れたのです。)
鯨は金になる。
こうして、お金を儲ける為に鯨が無秩序に狩られて行きました。19世紀になりますとアメリカは世界最大の捕鯨国家となります。日本の近海にもアメリカの捕鯨船が何隻も来たという記録があります。
日本もノルウェー式と言って、エンジン付きの船に槍の付いた砲を付けて鯨を取る様になりました。
(それまで日本は鯨を追い込み網で取っていました。)
これによって太平洋の鯨も激減していきます。
しかし石油が取れ出しますと、捕鯨の費用対効果が下がりお金にならなくなります。そして捕鯨が下火になり乱獲が終わったのです。
「石油があるし金にならないから鯨はそんなに必要ない。」
ですから1948年に捕獲量に秩序を持たせるIWCが設立されても文句を言う国は大してなかったんですね。
さて、IWC設立当初の加盟国は15ヶ国でしたが、日本は1951年に加盟します。(現在は89ヶ国)
IWCは各国の漁獲枠を決めたり、絶滅に近い種類の鯨の捕獲を禁止する制度が設けられて行きました。
日本もこのような制度が設けられていく中、割り当てられた漁獲枠ではありましたが鯨を捕獲していました。
なぜなら1940年代から1960年代の日本の最も主要なタンパク源は鯨肉だったからです。
しかしついに1982年、「商業捕鯨の一時禁止」が決まりました。商売の為に鯨を取るのは禁止ですよ。と言うものです。
一時禁止と言ってもこれが現在も続いているのですが、日本も当然禁止されました。
ちなみにこの頃にはもう日本は牛肉や豚肉がタンパク源に変わっていましたので、鯨肉を主要タンパク源とする必要性は無くなっていました。
商業捕鯨は禁止されましたが、鯨の生態を研究する為の調査捕鯨はIWCで許可されていますので、日本は調査捕鯨として毎年850頭(絶滅種ではなく、頭数が多いミンククジラなどです。)ほどの鯨を捕獲しています。
さて、みなさんはそろそろ意見がたくさん出てきたかと思いますね。
●鯨の調査として850頭も毎年獲る必要あるの?
●調査の為に殺す必要ってあるの?
●事実上は商業捕鯨なんじゃない?
●でも沢山いる種だから別にいいんじゃないの?
●鯨なんてほとんど食べないのに何で調査捕鯨と称して鯨を取るの?
●何で鯨を食べてるの?(調査の為に殺した鯨はしっかりと利用しなくてはならないと言う規定はあります。)
●鯨獲ったらかわいそうじゃん
はい、まさに皆さんが思われたたくさんの事は2014年のIWCで議論されました。
そして日本の「調査捕鯨で鯨を取る」と言う行為は完全に論破されました。これによって1年間は中止しましたが、その後は小規模で再開されました。
この4年後の2018年9月にIWCからこのような決定打が下されます。
「日本、調査捕鯨すんなよ。」
このような経緯があり、日本政府は12月20日に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退する方針に決めたのです。
脱退した場合は日本の商業捕鯨が可能となります。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2018/12/21(金) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)