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カナダ政府が中国への渡航注意を呼び掛けたニュースをわかりやすく解説して下さい



カナダ外務省が「中国が法律を恣意(しい)的に使ってカナダ人を拘束するおそれがある」として、中国への渡航を注意するようカナダ国民に呼びかけました。

今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。

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カナダでは長らく違法としてきた大麻の所持(大人1人につき30gまで)や嗜好品としての使用を昨年(2018)の10月から合法化した珍しい国です。

合法化した理由はいろいろとありますが、依存性の危険度は低いと判断し(あくまでカナダの見解です。)また犯罪組織の資金源を減らす為に合法化したのです。

そんなカナダですが、カナダ出身の男性が2014年12月1日に麻薬密輸の疑いで逮捕されました。

男性の名前はロバート・シェレンバーグ被告。

222キロ以上のメタンフェタミンと言う極めて中毒性の高い麻薬を中国からオーストラリアへ密輸する手配をしていたと言う疑いで、中国からタイへ逃げようとしていた所を逮捕されたわけです。

と、ここまでの話ならわざわざ取り上げるニュースではないのです。

シェレンバーグ被告は「私は麻薬密輸業者ではない。観光客として中国に来た」と否定していましたが、2018年11月に裁判で禁固刑15年の判決を受けました。

禁固刑というのは刑務所に入れられても労働がないものをいいます。一方、懲役刑と言うのは労働を強制的に行わされるものをいいまして、禁固刑の方が刑は軽いです。

このまま15年の禁固刑・・と思われましたが思わぬ事が起こります。「判決が軽すぎる」と検察側が主張し、裁判のやり直しが命じられたのです。

そして最終的にシェレンバーグ被告は死刑という判決が下ってしまったのです。

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中国は最近では穏やかになったとは言え、薬物に対する処罰がかなり厳しいことで有名です。
外国人なども含めて毎年数千人を処刑している国です。

ちなみに日本人も死刑が執行されていて、死刑確定から執行に至るまでの期間が短いのも特徴です。

ただ、中国では裁判のやり直し例は少なく、特に刑の厳罰化を求める為のやり直し裁判は稀と言われています。

なぜ今回はこのようになったのでしょうか?

中国は「全く関係ない」と主張しているのですが、そこには中国の通信機器大手の「華為技術(ファーウェイテクノロジー)」の事件が絡んでいると言われています。

2016年ごろからアメリカは中国のファーウェイテクノロジー社に対して調査を行っていました。
するとファーウェイ社の製品をイランへ輸出していた事がわかったのです。

実は2015年にイランとアメリカ、イギリス、ロシア、フランス、ドイツ、中国で「今後イランは核開発をしないようにして下さい」と約束をしていました。(これをイランの核合意と言います。)

しかしイランが秘密裏に核開発を進めているとアメリカは疑い、結局はイランもイラン核合意から離脱してしまいました。

そこで約束を破ったと見なし、アメリカはイランへ経済制裁(輸出入を禁止したりして、経済的に追い詰める作戦です。)を始めたのです。

もちろん中国もアメリカと同じように経済制裁をしてイランへの輸出入を停止したはずですが、ファーウェイ社が秘密裏にイランへ製品を輸出していた事がわかったわけです。

そこでアメリカはファーウェイ社の幹部を追いかけ、中国政府に協力を依頼するのですが断られます。

何故ならファーウェイ社は中国政府にとって重要な会社なのです。

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ホントかどうかはわかりませんが、ファーウェイ社の製品は中国政府の命令で企業情報や個人情報を抜き出すよう細工がしてあると言われています。

つまり製品を通じてスパイ活動をしていて、ファーウェイ社は政府と密接な関わりがある会社なわけです。
(あくまでアメリカ側はこのような可能性があると主張していて、軍事面や政府が関わる様な通信でファーウェイ製品を使用しないようにしています。)

またもしファーウェイ社がイランへ製品を輸出していた場合は、「中国政府がファーウェイ社と連携してイランへ加担していた」と見なされてしまいます。

他の国からも批判されてしまいますよね。

このような事に加えて中国とアメリカの貿易摩擦で仲が悪くなったこともあり、中国政府は協力をしなかった(あくまでそのような可能性があるだけで断言はできません。)わけです。

さてファーウェイテクノロジーですが、少し前にこの副会長・財務責任者である「孟晩舟(モウ・バンシュウ)」が逮捕されました。

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どこで逮捕されたかと言いますとカナダです。

なぜカナダかと言うと、カナダに入国した事を突き止めて、カナダ政府にアメリカが依頼をして逮捕してもらったのです。

中国のファーウェイ幹部をアメリカの見方をしたカナダが逮捕して中国側の怒りを買い、カナダ人のシェレンバーグ被告は中国で裁判がやり直されて死刑が求刑。

・・なんだか変な因果関係がありそうですね。

そこでカナダ政府はシェレンバーグ被告が死刑と求刑されたので、「中国が法律を恣意(しい)的に使用している」と非難したのです。

「恣意的」とは、思いつきとか自分勝手にと言う意味です。

法律に従わず、ファーウェイ幹部を逮捕した恨みで死刑を求刑したんじゃないか?と中国を非難して、国民に中国に行くときは注意しろ!と呼び掛けたのです。

一方、中国側はこれを否定しています。

これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐
大佐
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2019/01/17(木) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)

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