アメリカのトランプ大統領が政府機関の閉鎖が解決したあとに一般教書演説をすると発言しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
まずは一般教書演説とは何か?から始めましょう。
アメリカの大統領は年に何回か必ずやらなくてはならないイベントがあります。
その中の一つが「一般教書演説」です。
一般教書演説は1月の最期の火曜日に慣例として行われます。
「教書」と言うのは大統領が議会に対して「こうして行きます!」と、布告するメッセージの事です。(ローマカトリック教会で司教なんかが信徒に布告するのも教書と言います。)
アメリカには3大教書と言って、●予算教書●大統領経済報告教書●一般教書があります。
「予算教書」と言うのは毎年2月の初めに「来年の予算はこれくらいです。」と、取りまとめた物を大統領が議会に提出します。
そして来年の予算案が提出された10日以内(毎年2月ごろ)に「大統領経済報告教書」があります。ここでは国内の経済情勢の分析や経済政策に関してまとめたものを大統領が議会に提出します。
この二つは大統領が提出したからと言って、この通りに議会が全て受け入れるわけではありません。
「こんな感じでどうっすかね?」と大統領が勧めて、議会側が「その通りには絶対に行かないけど、これを参考にやってみる」と言う感じです。(決定権は議会にあります。)
で、肝心の一般教書なんですが、こちらはアメリカの情勢を分析した上で、政府の基本政策が書かれています。
これを基に「こうやって行きます」と、演説するわけですね。こちらも先に話した二つの教書と同じ位置づけで、あくまで議会に権限があります。
ところがトランプ大統領は毎年1月最後の火曜日に行う慣例であるのに対して、政府機関の閉鎖が解決したら行うと発言したのです。
政府機関の閉鎖とは、この通りに政府が閉鎖してしまった状態の事を言います。
日本でも来年度の予算について国会でよくもめたりしてますが、アメリカでも予算を巡ってもめています。
アメリカの予算案は9月末が締切となっています。ダラダラやってても仕方ないですからね。ですからこの期限までに来年度の予算を決めます。
しかしながら話し合いが長引きますと、この期限までに決まらない場合があるわけです。
先程、予算教書と言うものがありましたね?
大統領が議会に提示する来年度予算が書かれたものです。
これに対して議会で話し合い、予算の割当を法案化して大統領に送り返すわけです。
このまま大統領がOKをすれば予算が決まります。
しかし大統領が決めた予算案に対し、議会で納得いかない場合はこれを修正して大統領に送り返します。
これで大統領がOKを出したら、予算が決まります。
もし大統領が気に入らなかったら「拒否権」を執行して議会へ突き返します。
だけど議会はどうしても修正した案を通したいとなった場合は議会で多数決をとり、3分の2以上の賛成を得なければなりません。
これで3分の2以上の賛成となったら、大統領は嫌でもOKを出さなくてはなりません。
しかし、話し合いがこじれて明らかに期限までに予算が決まらないとわかった場合は、暫定予算と言うものを決めます。
暫定予算は1ヶ月〜3ヶ月くらいの期間を定めて、とりあえず予算を決める事です。
ただし、国家機関の日常的な活動に必要な経費だけに限定したものだけを決めただけなので、全てが決まった(本予算)わけではありません。
これで予算が決まらないと、政府機関の閉鎖となってしまうのです。
アメリカでは予算が決まらない場合は、政府機関で働く職員への給与が払えないしくみになっています。
給与が支払われなかったら普通働きませんよね?
ですから政府機関で働く職員は働かないで休んでしまうし、働く人がいないから図書館とかそう言った場所は閉鎖されてしまうのです。(警察とか軍隊などが休んでしまったら大変ですから、重要な機関だけは閉鎖しないようにしています。)
もちろん経済的な損失は莫大ですし、あまりにも休みが続きますと、公務員だって給与が貰えないから困ってしまいます。
予算が決まらないから政府機関が閉鎖し、大統領は予算が無事に決まって政府機関の閉鎖が終わったら一般教書演説をすると、発言してるわけですね。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2019/01/25(金) | 政治のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)