政府が子会社の独立性を確保する為に、子会社への社外取締役を増やす指針を示しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
会社勤めをしている方は親会社と子会社と言う言葉は耳にしたことがあるかと思います。
例えば携帯電話会社のソフトバンクですが、親会社の名前は「ソフトバンクグループ株式会社」です。
子会社の名前は「ソフトバンク株式会社」です。
二つの会社は同じ通信事業会社だと思われていますが、ちょっと違います。
ソフトバンクは国内通信事業をメインで行っています。
一方、親会社であるソフトバンクグループは国内通信事業は4割ほどしか行っていません。
じゃあ他に何をしているかと言いますと、投資事業です。
他の会社の株を購入したりして、その利益でさらに他の会社に投資して利益を得ているわけです。
しかし、そもそも一つの会社で全部をすればいいものを、なんで会社を作って事業をしているのでしょうか?
子会社にする理由は複数ありますが簡単に下記にまとめました。
●会社がでかすぎると、派閥が起きたり意見の食い違い、統率がとれなくなってしまうから。
●節税対策
●稟議書などに対して、規模が小さければ意思決定が早い
●親会社に何か起きた時でも子会社が生きていればリスクを回避できる(ただ親会社が死ぬと影響は起きたりします。)
●子会社化する事で、専門的な分野で事業が展開できる
などです。
ソフトバンクの場合は会社の一部事業部(国内通信事業)を切り離して作ったと言う感じですね。
さて、会社とはある会社の株を持っている比率によって様々な権限が与えられます。
何故なら、会社とは株主のモノだからです。
●ある会社の株を3分の1以上持っている・・重要事項の否決権が与えられます。(会社が何かをしようとする事に対して否決する事ができる。)
●ある会社の株を半分以上持っている・・今いる役員の半分以上を選任することができます。
(役員が半分以上選任するとができるとは、事実上経営権が取れます。)
●ある会社の株を3分の2以上持っている・・完全に経営権を取れます。
ちなみにソフトバンクの株を全然関係のない会社が3分の2以上保持した場合、別の言い方で「買収」なんて呼びます。
●ある会社の株を100%持っている・・完全子会社という形になります。
これらの中で持ち株の比率によってどこからが子会社と呼べるのかと言いますと、50%以上の持ち株を持っていれば、その会社を子会社と呼べます。
そして持ち株比率が20%以上50%以下の場合は、その会社を関連会社と呼んでいます。
※あくまでざっくりの話です。細かい規定を書くとこうならない時もあります。
子会社は、別名で「連結子会社」とも呼びます。
連結とは親会社と子会社がつながっている事から連結と呼んでいますが、普通はそれぞれの会社ごとに「個別財務諸表(会社の売上表ですね)」を提出します。
しかし、親会社、子会社の関係がある場合は親会社が子会社も1つの組織とみなして、子会社も含めた「連結財務諸表」を提出します。
簡単に言うとグループとして総合的な売上を提示してるのです。
会社の決算などにおいては単体の個別財務諸表よりも、連結財務諸表の方が重要視されます。
ですから、ソフトバンクよりもソフトバンクグループの方が重要視されます。
では株の持ち株比率によって、株を持っている人への権限や、どこからが子会社と呼べるのかがわかりました。
ですが、ちょっと最初の方に戻って見ましょう。
「親会社はなぜ子会社化にしたのか?」
子会社にする理由は冒頭でも話をしましたが、親会社は様々な理由があり子会社にしたくて子会社を作ったのです。
ですから親子の関係はあるものの、あくまで子会社とは「独立した会社」なんです。
当然、子会社の事業全般に関する決定権限は子会社の取締役や取締役会に委ねられます。
親会社が口を挟むことはできません。
また株主総会で例え親会社が来ても、株主総会では限定的な重要事項に対しては口は挟めるのですが、それ以上の事となるとやはり口を挟めません。
ところがこの親会社、子会社の関係にどこで線を引いたら良いのか?というのが役員でもわかっていない人が多くいます。
また子会社は独立した会社と言っても、一般的には親会社が子会社を支配すると言う傾向にあり、親会社の方が立場が上!と思ってしまう事があります。
こう言った事で親会社が子会社へ口を挟んでしまったり、親会社の利益の為に子会社が犠牲になる事象がしばしば発生しています。
特に日本では子会社が上場(証券取引所で株を売買できるようになること)する事が多く、親会社の意向が反映された上場会社が多くあります。
上場した子会社に投資する投資家としては、あくまで独立した子会社として投資しているのに、親会社の意見によって株価が下がったらたまりませんね。
これが問題となっているのです。
そこで政府は、子会社の独立性を確保するために親会社に企業順守を促す指針を策定する事にしました。
子会社に社外からの取締役を入れる比率をあげて親会社の意向を反映されにくくするなどを予定しています。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2019/03/12(火) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)