伊藤忠商事とデサントがモメています。
今回はこのニュースをわかりやすく解説していきたいと思います。
伊藤忠商事は大手の総合商社です。
総合商社は様々な商品について幅広く商売をしています。特定の分野について商売をしてる所は専門商社といいます。
商社は生産者の代わりに販売すると言う役割をしています。例えばメーカーは作るのは得意ですけど、販売をしたり売り込みに行く技術に関してはあまり得意ではありません。
そこで商社はメーカーから大量に買って、得意な販売技術で売ってあげるわけです。
また輸出入の仕事もしています。
例えば石油や鉱物資源を海外から輸入して、国内の製造会社に売ったり、逆に日本で作ったものを海外に売ったりします。
一方、株式会社デサントはスポーツウェアの専門メーカーです。
ゴルフウェアとか、ジョギングに使うウェアとかそういった物を作って販売しています。
どちらも巨大な大手企業なんですが、この二つの会社がもめています。
伊藤忠とデサントはもともと仲の良い会社でした。
伊藤忠商事は1964年からデサントと手を組みはじめました。
要はメーカー会社であるデサントがスポーツウェアを作り、売るのが得意な伊藤忠商事がそれを売りに走る、両者がwin winの関係となったわけです。
両社は親密に関係を結んでおりましたが、デサントは今までに2度経営危機に陥ってしまいました。
●1980年代にマンシング危機・・マンシングというゴルフウェアを作って大量に在庫を抱えて危機。
●1998年にアディダスショック・・売り上げの柱となっていたアディダスとの契約が終わってしまい、アディダス製品を売ることができなくなってしまって危機。
この危機を伊藤忠商事が救いました。
経営危機に陥った会社を助けるにはお金です。
誰かに沢山のお金を借りたりして、しばらくそのお金で食いつなぎ、会社は経営危機の脱出を模索するわけです。
しかし、経営危機に陥った会社に銀行が貸したりはしないです。冷たいようですが倒産して貸したお金が返って来なかった困るからです。
そこで伊藤忠商事がデサントの株を購入する事で、資金を提供したのです。
またデサントの経営を立て直すために伊藤忠商事から出向して来た方がデサントの社長を務めました。
(入れ替わりでこれまで伊藤忠の出身者が3人もデサント社長を務めました。)
こうしてデサントは救われ、伊藤忠商事はデサントの株をたくさん所持する事になって行き、デサントの株式総数の30%以上を保持して筆頭株主(一番株を持っている株主)となったのです。
会社とは社長のモノと勘違いする人がいますが、会社とは株主の物です。
資金を提供してくれる人(株を購入する人)がいて会社も経営していけるからです。
株主はある会社の株の所持率によって権限が与えられます。
●34%(3分の1以上)だと重要事項に対して拒否をすることができる。
●51%(2分の1以上)だと取締役の選任、解任ができ、事実上では経営権を取れる。
●67%(3分の2以上)だとほぼ完全に経営権を取れる。
今、伊藤忠は30%の所持率をTOBによって40%にしようとしています。
TOB(Take Over Bid)とは株式公開買い付けと言いまして、よく企業を買収する時に使う手です。
普通は株を購入する時に証券会社を通して購入しますが、TOBの場合は証券会社を通さず、株主から直接株を購入します。
証券会社を通してしまうと、「企業を買収する為に株を集めている会社がいる!」となり、多くの方が株を買いまくってしまうので、株価が高くなってしまいます。
そこで「この期間中に、このくらいの株数だけ今の株価より少し高く株を買います。」と証券会社を通さず、株主に直接株を売って貰うのです。
こうすれば証券会社を通すより結果的には安く株を購入できて、株の保有数を増やす事ができるのです。
相手の会社から同意を得てTOBをする場合は友好的TOBと言いますが、デサントと伊藤忠の場合は敵対的TOBです。
なぜ敵対的TOBをする事になったのでしょう?
二つの会社の仲が悪くなりだしたのは、2013年にデサント創業家の石本雅敏氏が社長に就任してからになります。
デサントは今、韓国でブームです。
ターゲットを韓国にしたらこれが大当たりしたのです。
しかし伊藤忠は今のままだと韓国でブームが終わったら終了や!中国にターゲットを今度は転換せなあアカンと忠告をするんですが、デサントは受け入れません。
当然、デサントには伊藤忠出身の取締役がいますが、石本氏が権限を弱くする為に動いていると言われています。
またデサントは相談なく下着大手のワコールホールディングスと業務提携を結びました。
本来、仲が良ければ筆頭株主である伊藤忠へ報告するんですがこれを黙っていたのです。
その他、利益目標が100億円だったはずなのに、なんで予想は65億円と減っているのか?という質問も具体的には説明しませんでした。
簡単にまとめますと、伊藤忠と離れて独自路線を取ろうとしてると言われており、これに伊藤忠商事が怒っているわけですね。
今までいろいろして来たのに、急に酷い!
こうなったら、経営を掌握してデサントを買収したるわ!
ということで、伊藤忠商事がTOBをしているわけです。TOBに成功すれば伊藤忠商事はデサントの40%を保有する事になります。
これが今回のニュースですね。
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2019/03/22(金) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(2)