ロシアの極右派が9月2日を「対日戦勝記念日」に制定するよう求めた議員立法案をロシア立法委員会が支持しないと決めました。
今回はこのニュースを分かりやすく解説して行きたいと思います。
日本では第二次世界大戦が終了した日付を1945年8月15日としています。
しかし、世界の国々ではこの日を終戦記念日としてはおりません。
変な話ですね。
まずは日本の終戦記念日が何故この日なのかを探って行きましょう。
時は1945年7月26日にのぼります。
追い詰められた日本にアメリカ・イギリス・中国が一緒になって日本へこんな文章を送りました。
「ポツダム宣言」
ポツダム宣言とは13ヶ条からなる降伏の条件を書いたものです。
ポツダムと言うのはドイツにある街の名前です。ここでアメリカ率いる連合国が会議をして「日本にこれを宣言します!」と言って作ったのでこの様な名前なんです。
ポツダム宣言にはこんな事が書かれていました。
・日本の軍隊は解散しなさい
・戦争の責任者を裁判します
・日本に秩序が保たれるまでは連合国が占領します
日本は受諾するか意見が別れて悩みます。
そして「ノーコメント(無視)」と処理しました。
しかし連合国側には拒否すると何故か伝わり、
連合国も「ほな、こっちも日本が壊滅するまでやったるで!」と、原子爆弾を最終的には使用しました。
まあアメリカの計算した感は否めないですが、とにかく日本は降伏するしかないと判断して8月14日に受諾を決定しました。
そして次の日、1945年8月15日に天皇陛下の玉音放送を国民に流し「ポツダム宣言を受諾して降伏しますよ」と伝えたのです。
日本ではこの日を終戦記念日としていますが、しかし降伏するという重要な文章に日本はまだサインをしていません。
あくまでこれは日本側の話であり、連合国としてはまだ正式には戦争は終わっていないという事になっているのです。
日本が「降伏します」という正式な文章にサインをしたのは、1945年9月2日の事です。
東京湾に浮かぶ戦艦ミズーリの甲板の上で降伏文書の調印が行われたのです。
アメリカ率いる連合国側では9月2日。
日本では8月15日という経緯がこれでわかったかと思います。
ではロシアはどうなのか?
終戦間近となった1945年8月9日。日ソ中立条約(1941年に作られた、お互い攻撃はやめようぜという条約)をしていたソ連(今のロシア)が条約を破棄して攻めて来ました。
これを「ソ連対日戦争」と言います。
このソ連の侵攻も日本が降伏する一つの要因となったのですが、9月2日に連合国との調印が行われた時でもソ連は北方領土にある歯舞諸島(はぼまいとう)に侵攻していました。
そしてソ連は日本へさらに侵攻し続けて、9月5日には千島列島全土を占領してしまいました。
アメリカ率いる連合国にはソ連も含まれているんですが、チャンスとばかりに侵攻しちゃったんですね。火事場泥棒みたいなもんです。
ですからロシアとしては9月2日の時点ではまだ戦争中だったわけです。
千島列島を占領したソ連は連合国が調印式を行った手前、連合国の一員でもある自国がこれ以上日本に侵攻するのもマズイと空気は読んでいました。
そこでソ連は降伏文書調印の翌日9月3日に戦勝記念式典を開きました。
そしてこの日を「対日戦勝記念日」としたのです。
所が1991年にソ連が崩壊し、ロシアが建国され、日本とロシアも国交が正常化されました。
そこで国交が正常化したのに「対日戦勝記念日」と呼ぶのは如何なものか?
また連合国は9月2日を日本が降伏した日としているのに9月3日にするのは如何なものか?
この様な意見が出ました。
しかしロシア政府内の極右派(ソ連時代を推し進めようとするグループ。日本の右翼みたいなもんです。)がこの意見に対して反対していました。
この意見対立を終わらせる為に2010年7月にロシア連邦共和国議会で「対日戦勝記念日」ではなく、「第二次世界大戦が終結した日」とし、日付も9月2日であるという法案を可決させました。
なんか、我々若い世代にとってはどうでも良いかもしれませんが、こだわる人はこだわります。
しかし、法案が可決しても極右派はまだ「対日戦勝記念日」にこだわり、議員立法法案を提出しました。
議員立法法案とは法律をこんな風に変えた方が良いという国会議員が作る提案書ですね。
そして先日(9月28日)に、この議員立法法案に対して、これには賛成できないと支持をしない事にしたのです。
これは日本側に配慮をした為だと言われています。
これが今回のニュースですね。
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2019/05/31(金) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)