かんぽ生命で、保険の乗り換えや保険料の二重支払いが行われていた事が発覚し、経営トップが謝罪しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
かんぽ生命ってそもそもどのような会社なんでしょうか?
以前、日本では郵便局などは日本郵政公社と言って郵政省(国)が運営していました。
しかし2000年代に入りますと国が管理したり経営をして行くのは止めようという動きが出始めました。
日本郵政公社では郵便貯金という銀行業務、簡易保険業務と言った業務が行われておりました。
国が経営しているだけあって潰れる事はほぼあり得ない為、多くの国民が利用し、一時は350兆円ものお金が郵便局に任された事もありました。
しかし国が経営している郵便局の構図に、問題や改善点が出て来て、管轄を国ではなく民間の企業に委ねる事にしたのです。
どのような問題や改善点が出てきたか?
と言うとこんな感じです。
◾︎公務員の給料分を減らせる(ウソ)
民営化すれば郵便局に勤める人の給料を税金から引かれなくて済むようになるから節税になる!
これは当時郵政民営化で多くの人が勘違いしていた間違いです。
郵便局に勤めていた人の給料は私達の税金から払っていたのではなく、郵便局の利益から払っていました。従って何も節税にはなりませんでした。
(なんでこれを書いたかと言うと次の税金の話に繋がるからです。)
◾︎税金
普通の企業は利益が出ましたら税金を払います。しかし国が経営していたので利益が出ても税金を納める必要はありません。
民間企業にしますと全国にある郵便局から税金を取れる事になり、結果として国の税収が増える事につながったのです。
ただ、利益余剰金といって当時は利益から給料などを引いて残ったお金を郵便局は国に納めていました。
このお金を政府は好きに使っていました。だから郵政民営化させて税金が増えるとは言えないのですが、税金というカテゴリーになると国は好きに使えなくなるというメリットはあります。
◾︎国の負担を減らす為
当時の郵便局は利益が出ていましたが、将来郵便局を利用する人が減って赤字になる可能性が示唆されていました。
赤字となった場合は結局国が税金から肩代わりをしなくてはなりません。こうなると国にとっては負担であるし国の財政が圧迫される可能性があると考えたのです。
◾︎アメリカの圧力
1990年ごろにアメリカが郵政民営化をするように圧力をかけました。
日本が郵政民営化させると、民間の金融会社にお金が回ってきます。だからその一部をアメリカの金融会社が狙って儲けようと考え、日本に働きかけたのです。
とまあこんな理由があり、2005年に国会で郵政民営化の法律を成立させて2007年10月1日からスタートしました。
これによってもともとあった日本郵政公社を4つに分けました。
●郵便局株式会社・・ゆうパックの受け付け、かんぽ生命保険の窓口やATMの管理などをします。
●郵便事業株式会社・・郵便物やゆうパックの流通を担当する会社
●株式会社ゆうちょ銀行・・銀行
●株式会社かんぽ生命保険・・保険会社
今回話題となっているのが「株式会社かんぽ生命保険」ですね。
かんぽ生命保険はもともと郵政省が行なっていたわけですから、高齢者なんかは非常にこのブランドが好きです。
そこを狙ったのか高齢者に対して強引な保険の勧誘をして顧客に不利益な契約を行っているという噂が1年半ぐらい前から流れていました。(会社側はそれまで否定して来ました。)
しかし自社で調査を行うと、保険を乗り換えた契約が5800件にものぼり、その中に不利益になる契約をさせていた事がわかりました。
古い契約から新しい契約に移る「乗り換え」をさせた事で顧客が新たな保険に入れなくなったり、新旧両方の保険料を二重で払ったりするなどの事象が発生していたのです。
その後、さらに不利益をうけた恐れのある契約が9万件を超えることがわかり、経営陣が陳謝したのです。
この様な事態になったのは営業のノルマでした。
営業のノルマではこんな縛りがあったのです。
●顧客が今の保険契約を、新しい別の保険に乗り換えても営業ノルマのポイントにはならない。
●6カ月以内に古い契約が解約されてしまうと、次に新規の契約をされてもポイントにならない。
●保険の解約後3カ月以内に新規契約があるとノルマのポイントにならない
このような縛りをかいくぐるためにこんな事をしていたのです。
◾︎顧客が新しい保険の契約をした後に古い契約をそのまま残して7カ月目に解約させる。
6カ月以内に古い契約が解約されると新規分が営業ポイントとならないので、そのまま二重契約をさせておいて、契約者にその6ヶ月間、保険料を二重に払わせたのです。
◾︎既存の契約を解約させて4ヶ月経過後に新規契約を結ばせる
先に今の保険契約を解約させて、4カ月経ってから顧客に新規の保険契約を結ばせます。
解約後3カ月以内に新規契約があるとノルマとしてポイントに加算されないためにこのような手口を使用しました。
こうすると無保険の期間が生じ、さらに病気などにかかってしまった高齢者が新規契約を結べない状態になってしまったのです。
かんぽ生命では、保険の営業活動を自粛したり、不利益を受けた顧客を訪問して元の契約に戻したり、払いすぎた保険料を返したりする方針を決めています。
これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐

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2019/07/17(水) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)