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自動車メーカーがカリフォルニア州の排気ガス規制で合意したニュースをわかりやすく解説して下さい



日本のホンダとアメリカの自動車メーカーを合わせた4社が、カリフォルニア州の自動車の排気ガス規制の基準で合意したことについて、談合にあたるとして調査に乗り出しました。

今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。

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自動車が登場してから100年ほどが経ちますが、自動車の排気ガスと環境問題は密接に関わって来ました。

そもそも排気ガスって何が含まれているのでしょうか?

ガソリンや軽油の主成分は炭素と水素です。そしてこれらを燃焼させると、こんなモノが出来上がります。
・一酸化炭素(CO)
・炭化水素(HC)
・窒素化合物(NOx)
・粒子状物質(PM)
・二酸化炭素(CO2)
など。

なんでこれが身体や環境に悪いのか?
炭化水素は窒素化合物と光化学反応を起こして、光化学スモッグを引き起こします。

光化学スモッグは目の痛みや咳、風邪に似た症状が現れます。ちなみにマスクでは防げません。

粒子状物質は粒径が10マイクロメール(1マイクロメートルは1mの100万分の1)以下のものをいい、肺や気管に沈着して呼吸器に影響を及ぼすのです。

二酸化炭素排出量は温暖化を引き起こすとされる有名な物質ですよね。

日本での排気ガス規制は1966年から始まり、年々強化されて来ました。最近では2016年にディーゼルのトラックやバイクの排出基準の強化を実施しています。

アメリカで最初に排気ガス規制が行われたのは「カリフォルニア州」でした。

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アメリカはそれぞれの州が一つの国のようになっていて、州によって独自の法律が定められたりしています。(アメリカ連邦政府の法律がそのまま適用されるわけではありません。)

カリフォルニア州では当時光化学スモッグに悩まされており、1962年にクランクケース・エミッション規制という初の排気ガス規制が作られました。

その翌年には、連邦政府側で全米に適用する大気清浄法が作られて行き、段階的に排気ガス規制が厳しくなっていきました。

しかしカリフォルニアは独自路線で連邦政府とは別に厳しい排気ガス規制を定めたのです。

そして現在では排気ガスの規制は大まかに2通りあります。

●連邦政府が定めた排気ガス規制
●カリフォルニア州が定めた排気ガス規制

どちらの排気ガス規制を選ぶかは州に任せておりまして、50州ある中で9つの州でカリフォルニア州の排気ガス規制を取り入れています。

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さて、オバマ政権の時代に振り返ります。

オバマ大統領は環境問題に対して、かなり積極的でした。経済再生計画には環境関連技術への優遇策がたくさん盛り込まれましたし、温室効果ガスの排出量を削減する方針も取り入れていました。

ただ、例によって州により環境規制の水準が違っており、これを連邦政府側でまとめる事ができませんでした。

環境規制は経済にどうしても影響を与えますし、州の大きさや人口、産業などが違いますからまとめる事が難しいわけですね。

そして時代は変わりトランプ政権に変わりました。

トランプ大統領は環境問題に対して全然乗り気ではありません。

2015年末には合意されたパリ協定(地球の気温上昇を産業革命前と比較して2度以下に抑える国際的な枠組み)から脱退します。

また石炭工場や石油掘削に対する規制を取りやめたり、環境保護や気候変動にまつわる政策も廃止するなどして、自国の経済を第一に考えます。

もちろん排気ガス規制も大幅に緩和しています。

カリフォルニア州は相変わらず独自の排気ガス規制を設けており、さらに2026年以降の新車を対象として新たな排ガス規制を独自に打ち出しました。

これに対して連邦政府と州政府の間で話し合いが行われましたが、結局はカリフォルニア州が強硬姿勢を崩さず、トランプ大統領とカリフォルニア州で避難合戦が起こってしまったのです。

こういった事でメーカーは、州ごとに排気ガス規制の基準にあった自動車を作って販売することになってしまっています。

そこで自動車メーカーのホンダ、フォルクスワーゲン、BMW、フォードの4社が話し合って、カリフォルニア州の排気ガス規制の基準で全米で車を作ろうと合意したのです。

これに対してアメリカ司法省で談合にあたり、「反トラスト法」に違反するという事で調査に乗り出したわけです。

反トラスト法とは日本の独占禁止法にあたるものです。

大企業がこっそり話し合って高い価格で値段を決めたりすると、価格が高騰する恐れがあるので、こういった事を禁止する法律ですね。

連邦政府とカリフォルニア州、そして自動車メーカーのこのような背景がある中で反トラスト法にあたると指摘したわけです。

これが今回のニュースですね。
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ブログ管理人:大佐
大佐
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2019/09/10(火) | 時事のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)

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