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50代の男性が日本の高等裁判所の判決で難民と認定されたニュースをわかりやすく解説して下さい



ソ連が崩壊して無国籍となった50代の男性が日本の高等裁判所の判決で難民と認定されました。

今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。

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難民は国内の武力紛争や宗教や人種差別による人権侵害などをによって、国境を越えて他国に難民として認定して欲しいと申請したりする方達です。

国境線を越えず自国内に留まる人達は正確には難民と呼ばず、避難難民と分類されています。

世界に難民はどれくらいいるかと言うと、2017年末では2540万人と言う数字が出ています。
最も多いのが中東で、その次がアフリカです。

これは国境線を超えた難民の方達で、国内に留まっている避難難民は4000万人ほどおります。

難民となってしまうケースは様々ですね。
難民の1番多い国、シリアでは紛争による難民、ミャンマーではロヒンギャ族への民族差別によって難民が出ています。

そして、難民は今も増え続けています。

難民を受け入れている1番の国はトルコです。
特にお隣の国、シリアから360万人以上の難民を受け入れております。

日本はと言うと、非常に難民に対して厳しい国で、約2万人ほどの難民が暮らしています。

しかし彼らのほとんどは「難民」として認められておりません。2015年では難民申請した7586人に対して、わずか27人。

ほとんどは「特別許可」か「仮放免」、そして「強制送還」と言う扱いがされてしまいます。

日本で難民認定されますと日本の国民と同じように年金や福祉手当などを受けられます。
しかし、特別許可や仮方面となると話は違います。

特別許可の場合は年金や福祉手当などは受けられません。就労は認められますが、ほとんどは短期間の就労などで全く安定しない仕事しか就けません。

仮放免となるとさらに酷く、就労が認められません。

こういう方達は仕方なく知人に紹介された安い日雇いの仕事をしたりして、なんとか生活をしています。

国民保険にも加入できないので、病院に行ったりしますと、当然全額負担となってしまいます。

難民認定されないと扱いが全然違うわけですね。

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では今回の無国籍となった50代の男性の話に移して行きましょう。

ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)は1922年から1991年まであった今のロシアの前の国です。

ソ連時代に絶対的な権力を持っていたのがスターリンです。共産主義を世界に広め、経済や国民の生活は全てソ連の管理下に置いていました。

スターリンが亡くなると、国民は自国の政治や経済に疑問を持ち始めました。「なんか変じゃね?この国」と思うようになったのです。

国も「なんか変じゃね?」と思ってはいましたが、なかなか今までのやり方を変える事ができないでいたのです。

そしてミハイル・ゴルバチョフが最高指導者になり悟ります。「この国、経済は酷いし、このまま行ったら終わるわ・・」

そしてグラスノチ(秘密にしていた情報を公開する政策)、ペレストロイカ(政治体制を改革して経済問題を解決する政策)を行いました。

これによってさらに国民が「この国やっぱおかしかったわ!」となり、ソ連の従属国も次々に独立。
ついに1991年、ゴルバチョフ大統領も辞任してソ連は崩壊したのです。

無国籍となった50代の男性はアルメニア人です。
アルメニアも昔、ソ連に取り込まれていた従属国です。

この時はアルメニア社会主義ソビエト共和国となっていました。

これがソ連の崩壊と共に大混乱が起きて、無国籍の難民となってしまったのです。ちなみにアルメニアはその後「アルメニア共和国」として独立しました。

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大混乱の後に各国を転々とし、ようやく日本へたどり着き、そして10年前に日本で難民申請をしたのです。

しかしながら判決では難民と認められませんでした。

日本で難民申請がなかなか通らない理由は主に2つあります。

1つ目は就労目的で難民申請をしてくる外国人を防ぐ為です。

実は2010年に全ての難民認定申請者に対し、就労を許可する事にしたのですが、明らかに出稼ぎを目的に難民申請をしてくる方が増えてしまったのです。

こうなってしまうと本当に必要としている難民の方達が困ってしまいますよね。
これで仕方なく2018年に廃止してしまいました。

2つ目は難民の定義が狭い為です。

例えば迫害を受ける可能性があるので難民申請しましたと言っても、これが本当なのかを証明する事も
どの程度の迫害を受けるかもわかりません。

判断基準がないので、結局は難民と認定する事ができないのですね。

ただ、これら意外にも重大な問題が発生する可能性があるからと言われています。

宗教や文化による問題です。

例えばトルコでは大量に難民を受け入れた事によって、大きなデモや反対運動が起こってしまっています。

日本でも大量に受け入れを行った場合、どの様な事態が起こるかはわかりません。案外物凄く調和した日本になるかもしれないし、大混乱が起こるかもしれません。

50代の男性は今年の1月29日に判決が再度下り、難民と認定しなかった国の処分が取り消され、当時の入国管理局の退去強制命令が無効となりました。

ようやく難民と認められたのですね。

これが今回のニュースです。
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ブログ管理人:大佐
大佐
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2020/02/03(月) | 国際事情のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)

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