財務省が今月発行する10年もの国債について、「表面利率」をこれまでの2倍以上の0.5%に引き上げる事を発表しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
財務省(昔は大蔵省といいました)というのは何を行っているのかと言いますと、私達の暮らしを支えるために様々な事を行っています。
例えばこんな事。
・経済の動きについて調査
・貿易についてかかる税金の仕組み作り
・国債の発行
・国がどれだけ今年はお金が必要になるかといった予算をつくる
・お金を事業者へ貸す(財政投融資なんていいます)
など。
特に今回は国債について関係がある部分で話していきましょう。
財務省の中の一つのお仕事で、「国の予算作り」と言うものがあります。
国が行う政策について相談しながら収入(歳入とも言います)と支出(歳出とも言います)のバランスを考えて必要としている所へお金が回っていくように予算をたてるわけです。
この収入はどこから賄っているかと言いますと、3分の2はみなさんから支払われる税金です。
残りの3分の1は「公債金収入」といって国の借金から賄っているのです。
借金というからにはどこからかお金を借りています。
全部がそうではないですが、誰に借りているかと言うと国民です。
どのようにして皆さんからお金を借りるか?
代表的なものとして「国債」です。
国債とは国が発行する債券(資金を借り入れるために発行する有価証券)で、簡単に言いますとお金をこれだけ借りましたという借用書の事ですね。日本が発行するので「日本国債」といいます。
先ほど3分の1を借りていると言いましたが、今現在、皆さんから徴収する税金だけでは全く足りないので、国債を発行して、皆さんに買ってもらい(国はお金を借りている)、そのお金を様々な事に使用しているのです。
なぜ国債を買う人がいるのか?それはお金が返ってくる信用度が高いからです。
これがよくわからない謎の会社とか個人に貸したら、本当に返ってくるか心配でしょう。
国債を買ってお金が返ってこなくなった時は国が破綻した状態。
なかなか日本が破綻するという事は考えにくく、貸したお金は基本的に返ってくると見越しているので、みなさん信用して国債を買うというわけですね。
所で、みなさんはお金をタダで貸すなんてことはしたくないですよね。
貸す代わりに利子をつけてお金が返ってくるようにしないと貸す意味がありません。
国債には種類があり、個人向け国債であれば10年債、5年債、3年債と言ったものがあり、国債を買って、例えば5年国債なら5年間の間で利子がついて返って来ます。
貸す年数が高い国債の方が利子は多く付きます。
今回、財務省は去年4月以降、0.2%となっていた10年国債に対し、今月(1月)から購入した人は「表面利率」を、2倍以上の0.5%に引き上げると発表しました。 (個人向け国債は毎月売り出されています。)
「表面利率」とは額面に対して年間、これだけ利子が付きますよと言うものです。
例えば100万円分の10年国債を買ったのなら、100万円×0.5%で5000円の利子が付くってわけです。
これは10年国債が満期日になったら5000円貰えるというわけではなく、毎年5000円の利子が付くので、10年間で50000円が貰えるという事になります。もちろん、国債と言うのは預けた100万円はそのまま返還されますので(元本保証されています。)、105万円が手に入るというわけですね。
(ただし固定金利型といって、最初に0.5%ですよと約束された国債になります。変動金利型(状況によって金利が変わる)の場合は違います。)
表面利率は市場の経済状況などの様々な要素によって決められるのですが、今回は昨年(2022年)12月に長期金利の変動幅を上昇させたことによって、10年国債だけ表面利率が上げられたのです。
長期金利というのは金融機関(銀行とか)が1年以上のお金を貸し出す際に「この金利で貸し出すことに決めましょう」とする金利の事です。この利率を上げたわけです。
お家を買う時に銀行でローンをよく組んだりしますが、金利が低ければ家を買い易いですよね。
逆に金利が高ければそれだけお金を返さなくてはならないから借りにくいです。
会社も事業を拡大して行く時に、金利が低いと銀行から借りる人達が増えます。
ですから基本的には景気が悪くなると、市場にお金が回るように金利を安くして経済を良くしていくようにしているんですね。
実はこの所、長期金利が上昇しています。
あ、じゃあ景気が良くなっているの?と思うかもしれませんが、残念ながら景気は悪いです。
これはコロナ後の景気回復を見据えて、金利を上げているのです。
アメリカでは「コロナ?まだそんなこと言ってんの?世界はブイブイ回ってるぜ。」とマスクを外して金利を上げており、それにつられるように日本もアメリカに合わせて、長期金利を上げているのです。
経済が回復してくれば多少金利が高くても借りる人が増えますからね。
(それが正しい判断なのかは置いておきます。)
ですが表面利率が上がると、当然その分、国は利子をつけて返さなくてはなりません。
ココが懸念点として挙げられております。
これが今回のニュースですね。
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2023/01/06(金) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)