日産自動車とフランス自動車大手ルノーが2月6日、、両社の資本関係を見直すことで合意した事を発表しました。
今回はこのニュースをわかりやすく解説して行きたいと思います。
日産自動車は知っていますね。
ルノーはフランスにある自動車会社です。
日産はバブル崩壊前に様々な車をヒットさせて大きな利益を上げていましたが、1990年代に入りますとバブル崩壊と共に崩れ始めて2兆円ほどの借金を背負い、倒産寸前になりました。
この為、日産はルノーの傘下(子会社と思っていただいてよいです。)に入り資本提携を結んだのです。
資本提携というのは、2社以上の会社がお互いに仕事や資金面で協力関係を築くための手法のひとつです。
一方の企業が提携先企業の株式を取得したり、あるいはそれぞれの企業が株式を持ち寄って提携関係を築きます。
突然ですが会社とは誰のものでしょう?
会社の社長でしょ~と思う方もいるかもしれませんが、会社は「株主のもの」になります。
例えば会社が「この方針で会社を動かして行きます」と、株主たちを集めた集会、株主総会で決議をしたとします。
ここでたくさんの株主たちが「NO」と言えばそれは通りません。
なぜなら会社に出資(お金を出している)しているのが株主だからですね。
株主総会で株主の50%超が出席し、その出席した株主のうち50%超が賛成したら成立されることを「普通決議」と呼ばれます。
普通決議はその会社取締役・監査役の選任などで決議をとられることが多いです。
もう一つ、取締役等の解任や会社の合併、会社の解散といった普通決議よりも重要な事を決める事を特別決議と呼びます。
この場合、株主総会で50%超が出席し、その出席した株主のうち2/3以上(66.7%以上)が賛成したら成立します。
(重要な事なんでちょっと比率を上げています。)
ある会社の株を少しでも持っていれば当然株主になるわけですが、多数決で決まる決議の仕方では、その会社の株を大量に持っている人に絶大な権限が与えられることが分かります。
会社が発行した株が全部で1500株だったとして
1000株を持っている人と、500株を持っている人がいましたら、1000株を持っている株主の意見がまかり通るというわけです。
さて、当時この倒産寸前だった日産に対し、ルノーは日産が発行している株の43%を所有しました。
56%は別の株主が所有しています。
もしも取締役を選任する時に普通決議を行った場合、56%の人が賛成して、ルノーが反対した場合は当然ルノーの意見は通りません。50%以上を越した株主の意見が通るからですね。
しかし、会社を合併しますという時に特別決議を行った場合、66.7%以上で意見が通るので、56%の株主が賛成しても意見が通らないのです。すなわち重要な事項を決める際はルノーが賛成しなければ否決されます。
ルノーの影響力がかなり強いという事がわかると思います。
一方、日産はというとルノーの株を15%保有しています。
じゃあ15%の議決権があるかというと、答えはNOです。
しかも議決権はなんと0%。
何でかと言いますと、これはフランスの法律があるからです。
フランスでは「40%以上の出資を受ける子会社は、親会社の株式を保有していても株主総会で議決権を持つことができない」という法律があります。
出資を受ける会社は日産、親会社はルノーです。
だから日産の株43%を保有しているルノーがこういう方針で会社を運営したいと思って株主に決議をした場合、日産が反対しても「日産は議決権0%なんだから反対しても意味ないよ。」となってしまうわけです。
非常に日産からしたら対等じゃないわけです。
そこで長らく日産はルノーに株式比率保有の見直しの話し合いをしてきました。
実は日産が立ち直った後、今度はルノーの経営状況が良くありません。
経営状況の悪いルノーの傘下に日産がいる、という構図としてもあまりよろしくない状態も起こっていました。
そしてついにルノーが合意して、43%から15%と、双方が15%ずつ株式を保有する形となったのです。
ルノーは保有する日産株28%分をフランスの金融機関に信託(自分の大切な財産を、信頼できる所に託し、自分が決めた目的に沿って運用・管理してもらうこと)して、その分の議決権は行使しない事としました。
これが今回のニュースですね。
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2023/02/07(火) | 経済のお話 | トラックバック(0) | コメント(0)